相馬 隆宏

経営の重要課題となった海洋プラスチック問題の解決に企業が本腰を入れ始めた。バリューチェーンに関わる企業が連携し、リサイクル網の整備や代替素材の開発を急ぐ。

 プラスチックごみによる海洋汚染問題の解決に向けて、企業の取り組みが加速している。

 2019年8月、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンは、高知県内の41店舗に、カネカの生分解性プラスチック製ストローを試験導入した。同月、人気ファッションブランドのコムデギャルソン(東京都港区)が世界に19店舗ある直営店で、三菱ケミカルが開発した生分解性プラスチックを使った買い物袋の使用を開始した。

 微生物の働きによって自然界で分解する生分解性プラスチックの採用は、海洋汚染を防ぐ重要な一歩である。とはいえ、世界に広がる汚染問題を解決するためには、より多くの企業が連携し、技術や資金、知恵を結集して取り組む必要がある。

廃プラの発生を頭打ちに

 国内では2018年1月、プラスチックの製造から使用、廃棄までバリューチェーン全体で海洋プラスチック問題の解決を目指す「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」が発足した。化学や食品・日用品メーカー、小売りなど258社・団体が参加する(2018年9月3日時点)。

 プラスチックは軽量で保存性に優れるなど有用な素材である半面、環境汚染や資源の枯渇などマイナスの面があるという前提に立ち、5つの活動を推進する。①プラスチック使用量削減、②マテリアルリサイクル率の向上、③ケミカルリサイクル技術の開発・社会実装、④生分解性プラスチックの開発・利用、⑤紙・セルロース素材の開発・利用──だ。

 今後、どのように進めていくか、どんな技術が必要かといったことを議論し、具体的な計画を詰めていく。CLOMAの会長を務める花王の澤田道隆社長は、「問題の本質はリサイクル。膨れ上がっている廃プラスチックをどうやって処理していくかが重要だ。リサイクルを進めて廃プラをぐんと減らせば、廃プラの発生量が頭打ちになり、資源の循環がうまく回り始める」と話す。

 日本企業を中心に「オールジャパン」で取り組むCLOMAに対して、2018年1月に米国で発足したグローバルの企業連合が「アライアンス・トゥー・エンド・プラスチック・ウェイスト(AEPW)」である。参加企業は約40社で、今のところ独BASFや独コベストロなど化学メーカーが目立つ。日本からは、三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学が名を連ねる。

「アライアンス・トゥー・エンド・プラスチック・ウェイスト(AEPW)」は2019年7月、東京都内で会見を開き、活動について説明した(左)。「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」の会長を務める花王の澤田道隆社長(右)

 三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長は、「特に大きな問題になっているのがアジアから出てくる廃プラスチックだ。この領域で日本の化学産業代表として貢献していくことが重要だ」と言う。