消費者に見えるリサイクルを
ヴァージニー・へリアス氏
米プロクター・アンド・ギャンブル
チーフ・サステナビリティ・オフィサー(写真:北山 宏一)

 当社は、1980年代後半からプラスチックのリサイクルに取り組んできた。3年ほど前から、ステークホルダー(利害関係者)からの要請が強まっており、プラスチックごみ問題の重要性がさらに増している。

 例えば消費者に調査すると、メーカーが対応すべき問題としてパッケージを真っ先に挙げる。買い物で常にパッケージを目にするし、写真で海洋ごみの実態を目の当たりにするなど、感情を刺激する目に見える問題だからだろう。メーカーに対策を期待している。最近では、消費者がパッケージを多く使う商品を選ばないようになってきている。

 当社は、消費者が積極的にこの問題に関われるように取り組んでいる。例えば、2017年にフランスで一部のシャンプーの容器に海岸に漂着したプラスチックごみを再利用した。この取り組みのポイントは、再生プラスチックを使うことで容器の色が従来の白からグレーに変わったこと。売り場で目に付くので、「あれ、どうしたんだろう」と不思議に思った消費者は足を止める。そこで、商品の説明書きを読んで色が変わった理由を知り、この商品を買うことで問題解決に貢献できるようになる。

 日本では今秋、食器用洗剤で海洋プラスチックを25%使ったパッケージを採用する予定だ。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、再生プラスチックを使って表彰台を作る計画がある。イオングループの店頭で食器用洗剤などの使用済みパッケージを回収し、表彰台に再利用する。オリンピック開催後には、表彰台を再び当社の商品のパッケージに戻す。

 プラスチックごみ問題の解決には、消費者が目に見える形で取り組むことが大切だ。(談)

企業の枠を超えた変革必要
クリスチャン・へスラー氏
独コベストロ
グローバルサステナビリティ責任者(写真:北山 宏一)

 プラスチックはこれまで、部材として自動車や航空機の軽量化や建物や冷蔵庫の断熱性能向上などを実現し、エネルギー使用量やCO2排出量を削減するなど、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献してきた。

 ただし、当社としては、海洋への流出や埋め立て処分など、プラスチックごみが環境に影響を与えることには断固反対している。実際、様々な措置を講じてプラスチックペレットが工場から環境に流出するのを防ぐ活動をもう何年も続けている。

 化学メーカーである当社にとって、サーキュラーエコノミーは新たな課題であると同時にチャンスでもある。特に今注目されているプラスチックごみ問題については、プラスチックが最後はごみとなって寿命を終えるのではなく、再び原材料として使えるようにしていく。

 プラスチックごみを原材料として有効利用するためにはまず、回収し、分別する必要がある。この点に関して日本は進んでいる。次の段階として、回収したプラスチックごみをどう原材料に戻すかだが、メカニカルリサイクルやケミカルリサイクルなど様々な選択肢がある。

 さらに、バイオマス(生物資源)素材やCO2を活用する方法もある。当社はCO2からプラスチックを作る技術を開発した。現在はまだ試験段階にあるので生産量は年間5000tだが、サーキュラーエコノミーに貢献するためには生産能力を増強しなければならない。

 プラスチックごみ問題の解決に取り組むのは、化学業界の社会的責任であると同時にビジネスチャンスだと捉えている。企業が単独で取り組むのではなくパートナーシップが重要だ。これから、業界やバリューチェーンを通じて変革を起こす必要がある。(談)