藤田 香

人権への取り組みに関する格付けで、日本企業は低い評価を受けた。この評価はSDGsへの貢献を測る世界的ベンチマークに組み込まれるため注意が必要だ。

 世界の投資家が参加して企業の人権への取り組みを格付けするイニシアティブ「企業人権ベンチマーク(CHRB)」が、2019年の結果を発表した。日本企業18社を含む世界の200社を評価。世界平均が24.3点と低い中で、日本企業の平均は16点とさらに低く、人権対応が遅れていることが浮き彫りになった。

 その中にあって比較的評価が高かったのは、ファーストリテイリングの47.1点。次いでイオンの28.7点、キリンホールディングスの23点、アサヒグループホールディングスの22.1点と続く。

■ 企業人権ベンチマーク「CHRB」の2019年スコア
主な企業を掲載。公表されたスコアは10点刻み。赤と青は日本企業。赤はスコア上昇、青は初の評価
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 CHRBは英アビバ・インベスターズやオランダAPGなどの投資家が参加して2016年に始まった。2018年までは人権リスクの高い農業、アパレル、資源採掘の100社を格付けしていたが、2019年はICT関連の製造業を加えて評価対象を200社に拡大。人権へのコミットメント、管理システムへの組み込み、人権デューデリジェンス、苦情処理メカニズム、透明性などから企業を評価する。

 ファストリとイオンは初年度から評価対象に選ばれ、低評価に苦汁を飲んできた。ファストリは「CHRBの評価基準から人権問題の重要な点を学び、体制を整え開示も進めた」という。2018年に人権委員会を設立し、人権デューデリ体制を確立した。イオンは2019年にサプライヤー取引行動規範を改訂して人権デューデリを実施、リスクの特定や優先順位付けも開示した。それぞれ2018年から19.1点と12点スコアが伸びた。

 CHRBプログラム・ディレクターのダニエル・ニール氏は他の日本企業のスコアが平均的に低い理由として、「人権方針や活動を開示していない。特に人権デューデリができていない」ことを指摘する。

SDGsへの貢献が評価される

 CHRBの格付け結果は、複数の投資家が活用している。さらに侮れないのは、CHRBが「世界ベンチマーキング・アライアンス(WBA)」に組み込まれる点。投資家を含む100以上の企業・団体が参加するWBAは、世界2000社のSDGs達成への貢献度を評価する世界的ベンチマークをつくる。2023年をめどにベンチマークを開発。エネルギーはCDP、人権はCHRBと提携してつくる。評価結果を投資家が活用することになる。人権はSDGs達成の柱でもあると、日本企業は認識すべきだろう。