注目点 5:株主総会

 6月にピークを迎える20年の株主総会シーズンは、新型コロナの影響を大きく受けるだろう。

 株主質問では、今後の事業の見通しや対策などについて聞かれるのは避けられない情勢だ。BNPパリバ証券の中空氏は、「新型コロナで企業経営の何が変わったか。どの需要がこれから無くなり、逆にどの需要が増えるのか。こうした見通しの変化について、経営者が熟考したかを聞きたい」と答えた。新型コロナの影響下で企業をどうかじ取りしていくのか。経営者は、未来の姿を問われる。

バーチャル総会に期待

 新型コロナ対策以外では、取締役の多様性や政策保有株式の縮減など、コーポレートガバナンス・コードで重要ポイントとされているテーマが引き続き注目されそうだ。

 投資家からは、「取締役会の独立性や多様性強化の動き」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、「持ち合い株式の解消」(アセットマネジメントOne)、「配当や自社株買いの考え方」(BNPパリバ証券)といった声が上がった。

 20年は、感染症対策としてインターネットを介して遠隔から株主総会に参加する「バーチャル株主総会」を検討する企業が増えている。これに対しては、「完全インターネット総会の必要性が喚起された」(フィデリティ投信)、「ネット中継や後日のウェブ開示などを進めてほしい」(国内運用会社)といった意見が寄せられた。

 ESG投資家にとって、株主総会は企業のESG経営の取り組みを確認する場だ。危機をどのように乗り越え、新たな価値を生み出す機会に変えるのか。ESG投資家は、経営者の発言に注目している。

注目点 6:公的年金のESG投資

 アンケートに回答した投資家の見方では、コロナ後はESGが運用でより重視される。

 世界最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を筆頭に、公務員や教職員年金といった公的年金がESG投資の対象を拡大する中、この動きが広がるか。さらには企業年金にも波及するかについて聞いた。

 「間違いなく広がると思う」と答えたのは、BNPパリバ証券の中空氏だ。「新型コロナ問題はESG投資の一つのフィールドとして捉えることもできる。低金利の中で他に投資するものが見当たらないという消去法的な理由のみならず、気候変動や働き方など多くの社会問題を解決する資金の流し方は、長期投資に非常に見合った考え方だということがさらに根付く」(同氏)。

コード改訂が企業年金呼び込む

 フィデリティ投信の三瓶氏は、20年3月に公表されたスチュワードシップ・コードの再改訂版が、企業年金にESG投資が広がる契機になるとみる。再改訂版は、企業年金のスチュワードシップ活動を後押しすべく、規模や能力などに応じて活動することなどを盛り込んだ。投資先企業とのエンゲージメントなどを負担に感じていた企業年金にとって、ESGを考慮したスチュワードシップ活動に取り組みやすくなる。

 「今回の再改訂の1つの目玉は、企業年金の受け入れを増やすために、(企業年金)自身がスチュワードシップ活動を直接行わなくても委託先運用機関が励行しているのをモニターすればコンプライ(順守)になることを明確にした点だ。これによって、コードを受け入れる企業年金が徐々に増えることが期待され、各年金でESG投資枠を設ける動きが出てくると思われる」(三瓶氏)。

 その他の投資家も、企業年金にESG投資が広がるという見方はほぼ一致している。運用資産が国内で100兆円近いとされる企業年金にESG投資が本格的に普及すれば、企業のESGの取り組みにさらに注目が集まり、その中身やインパクトの大きさがより厳しく問われることになるだろう。