半澤 智

新型コロナウイルスの感染拡大で、バーチャル株主総会に注目が集まる。その一方で、世界の大手機関投資家は、「対話の排除」に懸念を表明する。

 社長以外の取締役や監査役は全員テレビ会議で出席。遠隔にいる株主からインターネットで寄せられた質問にリアルタイムで回答する─。

 これは、2020年3月29日にサイボウズが開催したバーチャル株主総会の様子である。新型コロナウイルスの影響が、株主総会の様相を変えている。

サイボウズが2020年3月29日に開催したバーチャル株主総会の様子。青野慶久社長が議長を務め、取締役はテレビ会議で参加

壇上は社長だけ

 同社の株主総会に遠隔参加した株主は272人、会場出席の株主はわずか7人だ。青野慶久社長は冒頭、「こうした非常事態でも仕事が回せる。10年以上かけて働き方改革に取り組んできた成果だ」と語った。

 総会の内容はバーチャルならではだ。約90分間の開催時間のうち、約60分間を質疑応答に充てた。

青野社長が、株主と一般視聴者から寄せられたメッセージに答えた
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 会場参加の株主から質問を受けつつ、インターネット上に用意した「質問受付フォーム」で遠隔にいる株主からも質問を受け付け、質問の一覧を会場のスクリーンとライブ配信画面に映し出す。「新型コロナウイルスによる事業影響は」「同社の製品はこの災難にどのように役立つのか」など、19の質問に青野社長をはじめ取締役が答えた。

 新たな株主を獲得するため、一般視聴者からも質問を受け付けた。「採用計画に変更はあるか」「テレワークの拡大を見越した事業戦略はあるか」など、一般視聴者から寄せられた7つの質問に答えた。

 同社は2010年から同様の取り組みを実施していたが、これまで株主からの質問はあまりなかったという。法務統制本部長の中根弓佳氏は、「20年は多くの株主から質問が寄せられた。感染を予防しつつ、株主との対話を促進できる取り組みとして手応えを感じた。21年か22年には遠隔から議決権行使もできる運用を目指したい」と話す。

 同社は、株主との対話を深め、既存株主の満足度向上と新規株主の獲得につなげたい考えだ。株主同士が議論できるオンラインコミュニティなども準備している。