相馬 隆宏

ダイキン工業は2020年5月、コロナ危機への対応を発表した。健康で安心・安全な生活のニーズを捉え、主力の空調事業で成長を期す。

 今回、発表した危機対応では、コロナの影響が続く時期を、20年6月・9月・12月・21年3月までの4パターン想定し、実行計画を立てた。「守り」と「攻め」の両面から施策を講じ、「体質強化・体質改革」にも取り組む。

 足元での対応状況や「コロナ後」の成長戦略について、十河政則社長兼CEOに聞いた。

新型コロナウイルスの感染防止のため、オンラインで記者の質問に答えるダイキン工業の十河政則社長
(写真:ダイキン工業)

――雇用の維持など従業員への対応が注目されている。

十河社長(以下、敬称略) 社員の健康と安全が第一だ。業務に多少マイナスの影響があろうとも優先して手を打っている。生産やサービス部門を除いて平均して8割がテレワーク、在宅勤務になっている。

 社員がいかに意欲と納得性を持って仕事に向かってもらえるか、挑戦を通じて能力をさらに磨いてもらえるかが非常に重要だ。

――経営トップとして重要なことは。

十河 刻々と状況が変わり、先がなかなか見通せない中でリーダーシップは極めて重要になる。経営トップのリーダーシップの取り方によって企業はさらに強くなれるし、逆に衰退することもある。ピンチをチャンスに変えられるか。企業の競争力を試される時と考えて経営のかじ取りをしている。

 我々が方向性とやるべきことを明快に示し、率先垂範で引っ張っていけるかどうか。こういう危機のときは萎縮しがちだが、当社はリーマン・ショックのとき、チャンスでもあると前向きに捉えてやるべきことを示し、全社一丸となって乗り越えてきた。

――経済危機で気候変動対策の遅れが懸念されている。

十河 目先では、コロナの感染拡大で省エネより換気、安心・安全を優先するマインドが出てきている。ここは我々の技術をもって省エネをしながら換気もして、安心・安全を確保していく。例えば、当社の住宅用ルームエアコン「うるさら」は世界で唯一、換気機能がついている。こうした商品をPRして売っていく。換気、空気質、除菌・殺菌、洗浄といった、新たに生まれたニーズを取り込む。

 ESGのE(環境)は重要だが、さらにその次はS(社会)が重要になってくる。我々の空調やサービス事業は、健康で安心・安全な生活、ライフラインを支える社会に欠かせない事業と考えている。

 21年度からの次期戦略経営計画では、社会的に有意義な事業であることを理解して、さらなる技術開発や商品開発に取り組んでいく。