――ICGNは減配や無配当にも理解を示している。

ワリング 新型コロナの影響で収益性が低下した企業は、配当の支払いに慎重になるだろう。その場合、取締役会は投資家に減配や無配当にする理由と、それが資本配分方針にどう関連するかを明確に説明しなければならない。ICGNのメンバーは、配当の減額や支払い遅延を受け入れる柔軟性はある。ただ、配当が年金受給者や長期貯蓄者の生計を支えている限り、社会を支える基盤であることを強調したい。

――株主総会に対して求めることは。

ワリング 多くの企業が株主総会をバーチャルで開催するようになった。バーチャルでは、投資家が取締役会や経営陣にリアルタイムで直接質問を投げかけたり、説明責任を負わせたりできない点が課題で、株主の権利が脅かされる。エンゲージメントとコミュニケーションの強化がいっそう重要になる。

 企業に理解してほしいのは、株主総会と資金調達に関する、これら投資家の柔軟な姿勢は、コロナ危機における一時的なものだということ。企業は株主権の緩和を乱用しないでいただきたい。

 なお、コロナ危機の間、企業の取締役会は、会社の運営と長期戦略に精通している人々で構成されることが不可欠だ。企業が経営を安定させられるよう、取締役の在任期間の延長が適切な場合もあると考えている。

――企業報告はどうあるべきか。

ワリング 現在、世界の多くの規制当局は、企業の報告書や監査報告の提出期限を延長している。英国は2カ月延長した。企業は年次報告書や有価証券報告書の財務諸表に付随して、新型コロナへの対処方法を具体的に書いてほしい。

 我々投資家や監査人は、キャッシュフロー計算書、リスクシナリオに対して取る対策の計画、資本配分のアプローチに多くの注意を向ける。その説明も含め、コロナへの対処方法を報告書で公表することを企業には薦めたい。