田中 太郎

世界初の「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン」の認定制度をスタート。日本のNGO、ACE(エース)による現地での10年以上の取り組みが後押しした。

 ガーナ政府が児童労働の撲滅に向け踏み出した。2020年3月9日に「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域、CLFZ)設立のための手順およびガイドライン文書」の発効を宣言する会合を開催。CLFZの認定制度をスタートさせた。

2020年3月9日に開かれたCLFZガイドラインの発効宣言の会合に参加する現地の子どもたち
(写真:ACE)

 児童労働は、世界が解決すべき社会課題として注目されている。持続可能な開発目標(SDGs)は、「2025年までの児童労働の撤廃」を掲げる。国際労働機関(ILO)の条約では15歳未満(開発途上国では14歳未満)の就業が禁止されているが、実際には世界で1億5000万人以上の子どもが労働させられている。特に農業分野で多い。ガーナでも5人に1人の児童が働かされているという。

日本のNGO活動がベースに

 今回、発効したガイドラインは、CLFZとして満たすべき自治体やコミュニティの条件をはじめ、認定のための審査方法や指標、政府・行政機関やNGOなどの幅広い関係者の役割などを定めている。

 CLFZの考え方自体はガーナ政府の児童労働国家計画にあったが、ガイドラインには日本のNGO、ACEの現地での経験が反映されている。ガーナの児童労働をなくすための活動を2008年から続け、これまでに8つの村を児童労働がない村に生まれ変わらせた実績がある。

■ ACEは10年以上ガーナでの児童労働防止に取り組んできた
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 スタッフが地域に出向き、現地住民から子ども保護委員(CCPC)を選んで育成し、家庭訪問などで家族の協力を取り付ける。同時に農業技術の提供などで生活向上を支援する。日本企業と協力して児童労働のない産地からのカカオの調達を進め、21社80商品まで広げた。「ただ、個別の取り組みでは限界があった。国レベルの仕組みができた意義は大きい」(ACEの白木朋子事務局長)。

 CLFZの「児童労働なし」の価値が広く市場に認知され、カカオ産地としての競争力を高められれば、SDGsの達成により近づくはずだ。