相馬 隆宏

プラスチック使用量を大幅に減らした容器の開発が加速している。各社は消費者の環境意識の高まりを追い風に商品力の強化を狙う。

 花王は2020年4月、米国で新ブランド「MyKirei by KAO(マイキレイバイカオウ)」を発表した。シャンプーやハンドウオッシュなど3品目6品種を米アマゾン・ドット・コムの通販サイトで販売開始した。

詰め替え以外の選択肢を

 MyKirei by KAOは、同社が19年4月に公表したESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」で掲げる環境・社会課題の解決を具現化するためのブランドである。第1弾となる商品では、「ごみゼロ」へ向けて、プラスチックごみの大幅削減を実現する新型容器を採用している。

 「Air in Film Bottle(エアインフィルムボトル)」と呼ぶ新型容器は、薄いプラスチックフィルムでできている。容器の縁の辺りに空気を入れて膨らませ、その内側に中身を充填することで自立するようにした。プラスチック使用量は、従来のプラスチックボトル容器の約半分で済む。

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花王が米国で発売した新ブランド「MyKirei by KAO」の商品(左)。プラスチック使用量を半減した新型容器「Air in Film Bottle」を初採用した。澤田道隆社長(上)
(写真:花王)

 今回、ポンプから下の部分だけを取り換えられる「つけかえ」商品も用意した。これを使えば、ポンプが付いていない分、プラスチックの使用量をさらに約半分減らせるという。

 消費者や投資家も高い関心を寄せる「海洋プラスチック」問題の解決に向けた革新的な商品をまず米国で投入したのは、米国の消費者のライフスタイルに関係している。

 花王はプラスチックごみ削減のため、1990年代初めから詰め替え商品を販売し、日本では8割近くが詰め替え商品を利用するところまで浸透している。ところが、「米国では詰め替えの文化が根付いていない。いろんなメーカーが挑戦してきたが消費者の生活になかなか馴染まず、市場にも詰め替え商品がほとんどない」(花王欧米事業部新規事業グループの畑瀬孝利部長)。

 現在の習慣を変えずにプラスチックごみを大幅に減らすためには、本体のプラスチック使用量を減らすのが効果的だと判断した。

 新型容器は機構が複雑な上、これまでにない工程で製造するため、従来のプラスチックボトルに比べてコストがかかる。商品の販売価格は300ミリリットル入りで18ドル(約1900円)と、一般的な商品と比べると割高だ。

 花王は、環境への貢献に価値を感じてくれるエシカル(倫理的)な消費者をターゲットに販売拡大を目指す。容器の正面には、「LESS PLASTIC(省プラスチック)」「100% RECYCLABLE(100%リサイクル可能)」と記載して訴求する。

 リサイクルスタートアップの米テラサイクルと組み、使用済み容器を回収・リサイクルする仕組みも整えた。購入者は、使用済み容器をテラサイクルに送り返し、同社がリサイクルする。このときの送料を負担する必要はなく、返却するとポイントがもらえる。ためたポイントを使ってCO2削減や森林保全活動などを手掛けるNPO(非営利組織)などに寄付することで、環境に貢献できる。

 今後、1~2年の間に商品ラインアップを広げ、将来的に日本や欧州での展開も視野に入れる。