「完全ラベルレス」広がる

 ESGの取り組み強化を経営の重点課題に掲げるアサヒグループホールディングスは、グループでプラスチックごみ対策を強化している。

 アサヒ飲料は20年4月、「『アサヒ おいしい水』天然水 ラベルレスボトル」をリニューアル発売した。ラベルレスボトルとは、商品名などを記したプラスチックラベルを無くしたペットボトルで18年から展開している。捨てるときにラベルを剥がす手間が省けると購入客から好評で、お茶や乳酸飲料などにラインアップを広げてきた。19年は目標の100万箱を販売し、20年は50%増の150万箱を目指している。

 リニューアルでは識別マークを記していたタックシールも無くし、「完全ラベルレス」を実現した。資源有効利用促進法の識別表示に関する制度が変更され、完全ラベルレスが可能になった。日本コカ・コーラも追随し、同月に完全ラベルレスのミネラルウオーターを発売した。

 アサヒビールは、イベントなどで飲食店が販売するビールを入れる使い捨てプラスチックカップの代替を進めている。セルロースファイバーをプラスチックに混ぜた繰り返し使えるカップ「森のタンブラー」をパナソニックと共同で開発し、19年7月から累計約1万個を提供した。セルロースファイバーは、紙の原料であるパルプに含まれるセルロースを細かく砕いた素材。軽くて丈夫なため、プラスチックの代替素材として家電などに使われている。

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アサヒ飲料は、プラスチックラベルが全く付いていない「完全ラベルレス」のペットボトルを商品化した(右)。アサヒビールが提供する「森のタンブラー」(左)。様々な植物由来原料をプラスチックに混ぜている。左から、ヒノキ間伐材、セルロースファイバー、焙煎大麦かすを使ったカップ
(写真:アサヒグループホールディングス)

 同社の塩澤賢一社長は、「環境や社会に配慮していない企業はこれから厳しい評価を受ける」と言う。

 足元では新型コロナウイルスへの対応が急務となっているが、「コロナ後」は企業のESGの取り組みが投資家や消費者からより注目されるとみられる。手綱を緩めず活動を続ける努力が企業価値向上に重要だ。