馬場 未希

ESG投資家が、企業による資源の有効利用やリサイクルに関心を寄せる。政府はガイダンスを作成し、企業と投資家のコミュニケーションを促す。

 経済産業省と環境省は、企業と投資家が3R(リユース、リデュース、リサイクル)などの資源循環について対話するのに役立つガイダンスを策定する。2020年末までに取りまとめ、21年初までの公表を目指す。

 投資家が、資源の有効利用やリサイクルなどの情報を企業に求めるようになった。ガイダンスは、企業が統合報告書や投資家とのエンゲージメントで効果的に情報開示できるように、投資家が求める情報の要点をまとめる。投資家向けにも、評価の要点を示し、企業の取り組みを適切に評価できるように促す。

 情報の開示や利用を義務付けるものではない。開示する企業と評価する投資家が自主的に、価値向上のために活用するガイダンスにする。

 経産省と環境省が共催する研究会では下の図のような資源循環を推進する上でのガバナンスやリスク・機会、戦略などの開示が議論されておりガイダンスでも推奨されそうだ。

■ 開示や評価が推奨される資源循環に関する企業情報の例
TCFDをはじめ国内外の非財務情報開示では上記の項目の開示が求められており、政府のガイダンスでも検討されそうだ
(出所:経済産業省・環境省「サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会」)

 政府は18年末にも気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言が求める情報開示と、その評価のガイダンスを作成した。今回はその「資源循環版」とも言える。

EUは制度化へ、日本に影響も

 経産省は19年12月、国内外48社の機関投資家を対象にESG投資に関する調査を行った。投資判断で考慮すべき環境問題を尋ねると、約2割の投資家が「廃棄物・資源循環」を中長期で考慮すべきと答えた。

 約2割は少なく見えるが投資家の関心は確実に高まっている。海洋ごみが注目され、企業の責任を問う声が高まっている。プラスチックに限らず資源を効率的に使って廃棄を減らすことが企業の評判を左右する。生分解されるバイオマス素材の開発やリサイクル技術を磨けば、顧客に評価され、競争力になる。

 世界の有力投資家が参加する責任投資原則(PRI)は19年、企業のプラスチック利用に関する報告書を発表した。リスクや機会の例を挙げ、投資判断に織り込むことを求めた。

 制度化の動きもある。欧州連合(EU)は21年以降、投資家や金融機関などに対し、環境問題に配慮した投融資を求める計画だ。欧州委員会は積極的な投融資を推奨するグリーンな企業活動をリスト化した「タクソノミー」を作成した。

 20年6月18日には先行して作成した気候変動に関するタクソノミーを21年末に適用することが決まった。発電や製鉄、自動車などのCO2排出量に着目した、投融資を推奨する事業リストだ。資源循環のタクソノミーも21年末までに作成、22年末からタクソノミーに沿った投融資を求める。

 欧州域内の投資家に適用される制度ではある。とはいえ、欧州市場に製品を投入する日本企業も、欧州の投資家から資源循環の情報開示を求められるだろう。

 日本企業は資源の3Rを意欲的に進め、ビジネスモデルと技術を磨いてきた。適切な評価を受けるため、資源循環戦略を積極的に開示すべきだ。