酒井 耕一

植物由来のバーガーパテなどを生産し、業績を急拡大する。「環境に優しい食物」を旗印に若者から投資家まで幅広く支持を得る。

 大豆などから作る代替肉で急成長を遂げるのが米ビヨンド・ミートだ。設立から10年目の2019年5月に株式を公開し、時価総額は83億ドル(約9100億円)を誇る。株価も2020年の年初は96ドルだったが、6月5日時点では133ドルに上がっている。

 19年の売上高は2億9700万ドル(約330億円)と、18年より3.4倍に拡大。純損益は1200万ドル(約13億円)の赤字だったが、20年1-3月期には180万ドル(約2億円)の黒字に転換した。

 成長の原動力は「環境に優しい食物」として評価を得ていること。牛の排せつ物やげっぷから出るメタンガスは、二酸化炭素(CO2)の25倍も温暖化への影響があるとされる。

環境配慮の観点や、若者に肉食離れも植物肉バーガーを後押し(写真提供:ビヨンド・ミート)

 国連の予測では50年に世界の人口は97億人に達すると見られており、これは15年から30%も増える計算になる。畜産物の需要も70%は増える見込みで、牛を育てる穀物飼料もさらに必要になり、牛肉生産のコスト上昇が予想されている。ビヨンド・ミートが作るパテやソーセージはそれを代替する製品としての期待が高まっている。

 同社のイーサン・ブラウンCEO(最高経営責任者)によると、同社はミシガン大学と共同で牛肉と植物肉の生産についての比較実験を行った。その結果、植物肉の生産は、同じ量の牛肉を作るのと比べて、水の使用量は99%、土地の使用面積は93%、温室効果ガスの排出量は90%、エネルギー使用量は50%、それぞれ牛肉の場合より少なくできたという。「何を作っているかだけではなく、どう作っているかが評価される会社でありたい」とブラウンCEOは語る。

スタバもマックもKFCも採用

 実際に植物肉への評価は高く大手スターバックスやマクドナルドなど外食チェーンは続々と採用している。米国でビヨンド・ミートの製品を扱う飲食店やスーパーの数はすでに8万近くに達する。巨大市場の中国でも現地の企業と提携して、KFCやピザハットの店舗に納入している。

 ブラウンCEOはESG経営を積極的に進めている。20年5月にネット上で開かれた同社の株主総会では、一般の投資家からESGに関連する質問が相次いだ。

 人材面においては、最近も人材担当、品質管理担当として女性の執行役員を増やしていると強調。社外取締役でも検討することを明らかにした。「人材の多様性に力を入れる」という。環境面では輸送や包装に使うプラスチックを減らすと宣言。リサイクルも増やすとした。「環境面でも業界のリーダーになる」(ブラウンCEO)と意気込んでいる。