小槌 健太郎/ジャーナリスト

コロナ禍による経済の停滞は環境負荷を減らすが、失業率は増大して貧困が悪化する。SDGsで進展を見せるアジア諸国はコロナも効果的に制御し、地政学的な重要性が増す。

■ 世界のSDGs達成度ランキング
SDGs達成状況の上位20位(166カ国中)を示した。例年同様、欧州諸国が上位を占めた。日本は、昨年の15位から17位に順位を下げた(出所:Sustainable Development Report (SDR) 2020)
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 ドイツ最大の財団法人ベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は2020年6月30日、SDGs(持続可能な開発目標)について各国の達成状況を分析した報告書「SDR2020」を公表した。16年から発行しており、20年が5回目となる。

 SDGsの17目標の達成状況を、各国の公開情報を基に独自評価した。国連加盟193カ国のうち166カ国をランク付けした「SDG Index」は、上位10位までは19年と同じ欧州諸国が占め、上位3位は北欧3カ国だった。日本は19年の15位から17位に下がった。アジア諸国は50位以内に韓国(20位)、タイ(41位)、中国(48位)、ベトナム(49位)が入った。

 日本は、目標4「質の高い教育」、目標9「産業と技術革新の基盤」、目標16「平和と公正」が達成を示すグリーン評価。一方、目標5「ジェンダー平等」、目標13「気候変動対策」、目標14「海の豊かさ」、目標15「陸の豊かさ」、目標17「パートナーシップ」は最低のレッド評価だった。また、目標10「人や国の不平等」は、状況が悪化していると評価された。

 20年は新型コロナウイルス感染症への対応に関するランキングも併せて発表された。経済協力開発機構(OECD)加盟33カ国の中で、首位は韓国。次いでラトビア、オーストラリア、リトアニア、エストニアで、日本は6位に入った。

喫緊の課題は「健康と福祉」

 報告書は感染爆発が進む新型コロナが、ほぼ全ての目標に悪影響を与えると指摘する。特に貧困国では目標達成が困難になり、多くの国で経済活動が停滞して失業率が増え、貧困につながるとみられる。

 新型コロナは先進諸国の医療システムの脆弱性を浮き彫りにした。あらゆる国が目標3「健康と福祉」に関して、世界的な感染爆発に対する早期警戒とリスク管理体制を強化する必要があると指摘する。

 一方で経済の停滞により環境への負荷は減る。目標13「気候変動対策」や目標14「海の豊かさ」、目標15「陸の豊かさ」の状況を改善していくには、新型コロナの収束に向けて、以前とは異なるやり方で復興を進めることが必要だろう。

 特筆すべきはアジア諸国で、15年以降、東アジアと東南アジア諸国は他の国・地域よりスコアを大きく伸ばした。新型コロナの感染爆発に対しても効果的に対応している。

 コロナ禍により、地政学と経済の重心は欧米諸国のある大西洋地域からアジア太平洋地域への移動が加速すると報告書は予想している。