相馬 隆宏

英蘭ユニリーバは、2039年までにサプライチェーンでのCO2排出量を実質ゼロにする。コロナ禍でも気候変動対策の手を緩めず、経営リスクを低減して持続的成長を目指す。

 2020年6月15日、英蘭ユニリーバはサステナビリティ(持続可能性)に関する新たなコミットメントを発表した。「気候&自然基金」を創設し、今後10年間で総額10億ユーロ(約1200億円)の投資も決めた。

ユニリーバのアラン・ジョープCEO
(写真:ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス)

 気候変動対策では、原材料の調達から製品の製造、販売までで排出するCO2を39年までに実質ゼロにする。50年に実質ゼロにするというパリ協定の目標を、単独の企業として11年前倒しして達成を目指す。

 実現するには、サプライチェーン全体でCO2排出量を削減していく必要がある。そこで、「科学に整合する温室効果ガス削減目標(SBT)」の認定を取得しているなど、CO2排出削減に積極的な企業との取引を優先していく。

 さらに、CO2の排出状況を把握するため、取引先に対して請求書にカーボンフットプリント(CO2排出量)の記載を求める。将来的に、あらゆる製品にカーボンフットプリントを明示することを目指す。

 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの新名司アシスタントコミュニケーションマネジャーは、「あらゆる企業がカーボンフットプリントを表示できるようになれば、店頭で消費者が比べられるようになり、商品の差別化につながる」と言う。

人工衛星で森林破壊を監視

 森林保全では、23年までに「森林破壊ゼロ」のサプライチェーンを実現する。既に、森林に関わる調達の89%を国際的な森林認証を取得した取引先からの調達に切り替えている。今後、人工衛星やデジタル技術を活用した監視を取り入れ、森林が破壊されていないかどうかを確認して、取り組みを徹底する。

森林保全では、今後、人工衛星などを活用して監視体制を強化する
(写真:ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス)

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、気候危機への関心が一時的に薄れているとの指摘もある。ユニリーバのアラン・ジョープCEO(最高経営責任者)は、「気候危機は私たち全員にとって脅威であり続けていることを忘れてはならない。気候変動、自然の劣化、生物多様性の減少、水不足などの問題は互いに関連しており、これらすべてに同時に対処しなければならない」と声明を発表した。

 コロナ禍が示したように、社会が脅威にさらされた状態ではビジネスを続けられない。あらゆる企業にとて、気候変動対策を加速させることが持続的成長の条件になる。