藤田 香

仏ダノンは「Bコープ」認証取得に全世界で乗り出し、2020年5月に日本法人も取得した。従業員や地域、環境にも利益をもたらす社会的企業であることを強く打ち出す。

 ヨーグルトやミネラルウオーター「エビアン」を販売する仏食品大手ダノンの日本法人ダノンジャパンは2020年5月、株主だけでなく、環境や社会にも配慮した企業に与えられる国際認証「Bコープ」を取得した。

 Bコープは米NPO「Bラボ」が運営し、株主利益と公益の両視点を持つ“良い企業”を評価する認証制度。ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、顧客の5つのカテゴリーで200以上の質問から成る調査票に企業が回答し、採点結果で認証が与えられる。社会へのインパクトを数値で「見える化」できる点が特徴だ。ダノンジャパン法務・コミュニケーション部長の長谷川一美氏は「各項目が数値化されて公開されるため経営の改善にも役立てられる」と話す。

 世界では米パタゴニアなど3350社がBコープ認証を取得している。120カ国以上に進出し連結売上高253億ユーロ(約3兆円)のダノンは、「2025年までに全市場でBコープ認証を取得する」目標を掲げた。まず各子会社で認証を取り、最終的にグローバルでも認証を受ける予定だ。日本法人の取得は24番目に当たる。

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左はBコープ認証の評価項目の概要。ダノンは世界の子会社で認証取得を目指している
(写真:ダノンジャパン)

 同社がBコープ認証取得に力を入れるのは、従業員の健康・安全確保や、原材料を調達する地域の生態系保全など多様なステークホルダーへの配慮が事業の継続に一層重要になってきたからだろう。20年6月の株主総会では、仏会社法に基づく「使命を果たす会社」になる決議をし、社会的企業であるという理念と環境・社会分野の目標を定款に定めた。

インパクト投資を呼び込む

 長谷川氏は認証取得のメリットを2つ挙げる。1つ目は人材の確保だ。社会にプラスの影響を及ぼす企業で働く意欲が高い若い世代を引き付けやすくなる。2つ目は取引先や顧客から信頼を得られることだ。米ニールセンの調査によると、米国ではBコープ認証が記載された食品ブランドの成長率は14%で、食品市場平均の0.7%より大幅に高いという。

 Bラボ日本事務局長の山崎正人氏は、「投資家はBコープの評価結果を社会的インパクト投資に活用できる。投資先として社会的貢献度の高い企業を選択・発掘できる」と話す。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の普及でインパクト投資の伸びが期待されている。今後、投資を呼び込む手段としてもBコープ認証を取得する企業が増えるかもしれない。