経営者に「AI方針」迫る

 企業が自主的にルールを整備する動きは既に出ている。

 ソニーは2018年9月に「ソニーグループAI倫理ガイドライン」を公表した。「人種、文化、地域、宗教等の多様性やお客様をはじめ様々なステークホルダーの人権を尊重する」としている。

 NECは2018年10月、AIが人権に与える影響を考慮し、人権尊重の考えをサプライチェーンに組み込む「デジタルトラスト推進本部」を設置した。法律や人権対応などのノウハウを持った要員で構成し、有識者、NPO、消費者などをメンバーとする「外部有識者会議」も設置する。

 同社は「都市の安全」を成長の柱に掲げ、AIを活用した顔認識システムなどを積極的に提案していく予定である。AIの判断プロセスやどのようなデータを使っているかなど、利用者に説明責任を果たせるようにする。現在、AI活用に関するガイドラインを策定中で、2018年度中の公表を目指している。AIを使った商品やサービスの開発と運用の「よりどころ」にする考えだ。

 ESGを重視する投資家の注目も高まりつつある。NECのデジタルトラスト推進本部主席主幹の若目田光生氏は、「経営者がAIの使い方について質問される時代が既に来ている。AI活用と情報開示の取り組みがESGのS(社会)の評価に組み込まれていくだろう。情報開示によって信頼性を強みにしたい」と話す。

 既に企業の様々な場面でAIが活用されている。AI活用における人権問題への対応が、ESG経営の新たな課題として浮上しつつある。