相馬 隆宏

企業がSDGsの取り組みを発信する際の指針となる文書が発行された。バラバラだった開示方法が統一されれば、「SDGsウオッシュ」が見抜かれる。

 GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)と国連グローバル・コンパクトが2017年から2018年にかけて、SDGs(持続可能な開発目標)の情報開示に関する2つの文書を作成した。

 『An Analysis of the Goals and Targets』は、SDGsとビジネスの関係性を示した解説書。169あるSDGsのターゲット一つひとつについて、どんな取り組みが関連するかや、貢献を伝えるための指標を具体的に例示している(下の表)。

■ SDGsの取り組みを伝えるための2つの文書が発行された
出所:クレアンの資料を基に作成
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 『Integrating the SDGs into Corporate Reporting: A Practical Guide』は、SDGsの情報開示に関する具体的な手順を示したガイドブックだ。開示する情報の特定からステークホルダーとのコミュニケーション、フィードバックまでの流れと方法が分かる。

 日本企業の間でSDGsは急速に浸透し、SDGsへの貢献を統合報告書やサステナビリティ報告書でアピールするところが増えている。だが、これまでは開示方法が各社バラバラで、どこの取り組みが進んでいるのか、パフォーマンスの優劣を読み手が判断しにくかった。今回の2つの文書が出そろったことによって、企業が共通の指標を使ってSDGsの取り組みを発信するようになれば、横並びで比較評価できる。

 ガイドブックでは、SDGsのリスクについても把握するように書かれている。今のところ、自社の取り組みとSDGsのロゴを紐付けて、どの課題の解決に貢献しているかを発信する企業がほとんどだ。SDGsが対象にしている課題に負の影響を与えているかについて言及しているところは見られない。クレアン統合報告支援グループの冨田洋史マネジャーは、「ネガティブな影響から目をそむけていると、『SDGsウオッシュ』と批判されかねない」と指摘する。

 この文書の作成にはネスレ(スイス)やノボ ノルディスク(デンマーク)などESG先進企業も多く関わっており、今後、これに基づいて報告書を作る動きが広がる可能性がある。