1カ月もかからず実装完了

 野菜のトレーサビリティ管理に活用する取り組みも始まっている。電通国際情報サービスは2017年3月に、宮崎県の綾町と共同で、ブロックチェーンを活用して野菜の生産履歴を管理する実験を実施した。

 コマツナやニンジンなどの生産者が、野菜の植え付け、肥料や農薬の使用、収穫などの段階で、その時のデータをブロックチェーンに記録する。土壌や生育状態の写真を記録することも可能だ。

 野菜の包装袋にQRコードを付与し、スーパーなどの店頭で消費者がスマートフォンでQRコードを読み取ると、生産地や収穫日時、農薬の使用有無などの情報を表示する。

 同町は、1988年に全国に先駆けて「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定するなど、有機農法を活用した農作物の生産に力を入れてきた。その一方で、消費者へのアピール方法を模索していた。

■ 電通国際情報サービスは野菜の生産履歴を管理するシステムを開発
野菜の包装容器に印刷されたQRコード(左)をスマートフォンで読み取ると、生産プロセスを確認できる(右)

 通常、こうしたシステムの構築には3カ月以上の開発期間が必要となるが、ブロックチェーンを活用することで1カ月もかからずに実装を完了できたという。電通国際情報サービスには、外食や流通業者などから引き合いが来ており、現在、サービス化に向けた準備を整えている。

 経産省は、67兆円市場のうちサプライチェーン管理への適用は、そのうちの約半分の32兆円を占めると予想している。

 ブロックチェーン技術は発展途上で、現在は課題を検証している段階といえる。セキュリティを担保するための法制度の整備なども課題だ。一方で、様々な分野で革新をもたらす可能性を秘める。今後、環境・エネルギー分野でも活用が進みそうだ。