藤田 香

日本コカ・コーラは2030年にペットボトルの再生材などの比率を50%以上にする。鍵を握るのはきれいな空容器の回収。五輪を消費者行動を変える契機と捉える。

 日本コカ・コーラは2018年1月、「容器の2030年ビジョン」を発表した。ペットボトル1本当たりのリサイクル素材および植物由来の素材の含有率を平均で50%以上にする目標などを掲げた。現状の20〜30%から大幅に引き上げる。加えて、国内で販売した自社製品の容器と同等数量の容器を回収・リサイクルする目標も盛り込んだ。

 このビジョンは米コカ・コーラが1月に発表した容器に関する2030年のグローバルプランの「全世界で平均して1本当たり50%以上のリサイクル素材を使用する」目標と歩調を合わせたもの。従来は「2020年までに全ペットボトルで持続可能な素材を使う」という目標だった。ただし、持続可能な素材は1本当たり微量でも構わなかった。対して、2030年ビジョンでは「重量比で50%以上」と数値目標に踏み込んだ。

■ 日本コカ・コーラは持続可能な素材を採用
ペットボトル1本当たりのリサイクル素材および植物由来素材の平均含有率

屋外回収の容器も再生

 目標達成のためにメカニカルリサイクル素材の使用を増やす。メカニカルリサイクルでは回収したボトルを粉砕して洗浄し、ボトルに染み込んだ汚染物質を高温・真空下で吸い出す技術を使用する。リサイクル素材の使用比率を50%以上に引き上げるには、きれいな使用済みペットボトルをいかに多く回収するかが鍵を握る。飲み残しやタバコの吸殻などが入った汚れた容器は、異物や汚染を除去してリサイクルするのに技術力とコストを要するからだ。

 これまで同社は家庭から出る比較的きれいな空容器を主に利用してきた。だが、こうした空容器は飲料やアパレルのメーカー間で取り合いになり、入札で購入するため数量の安定的な確保が難しい。一方、自動販売機など屋外回収の容器は汚染の可能性が高いが、同社の場合は安定した量を入手できる。目標達成のためには今後、屋外回収の容器の使用を増やさなければならない。異物やにおいを除去する技術力の向上や新たな設備投資が必要になりそうだ。

 加えて、汚染を減らすような消費者教育の展開も検討中だ。「回収ボックス横に飲み残しを入れる容器を置くなどの仕組みを考えたい」と同社労働安全衛生・環境サステナビリティ部長の柴田充氏は話す。

 ペットボトルの回収、リサイクル素材の調達、飲み残しをなくす広報活動など、目標達成に向けて様々な部門が連携する組織を発足させた。今後、課題を洗い出しアクションプランを作る予定だ。同社は東京五輪の公式パートナーでもある。「持続可能な大会を目指す五輪を通じて、消費者意識の変革を呼び掛けたい」と柴田氏は語る。