社外取を「お飾り」にしない

 コーポレートガバナンスに詳しい牛島総合法律事務所の牛島信弁護士は、同社のガバナンス改革について、「今の時代に合うようにガバナンスの体裁は整えた」と評価する。

 社外取締役の「3分の1以上」は、コーポレートガバナンス・コードの改訂を先取りした格好だ。取締役会議長に独立した社外取締役を据える取り組みは、英国がコーポレートガバナンス・コードで定めている。日本でも2017年、武田薬品工業や三井住友トラスト・ホールディングスが採用するなど、導入企業が出てきている。

■ 神戸製鋼所が打ち出したガバナンス改革
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 ただ、社外取締役の比率や配置といった「体裁」を整えただけでは意味がない。牛島弁護士は、「再発防止や今後の企業成長のためには、社外取締役が力を発揮できる体制を整えられるかがポイントとなる」と指摘する。

 特に取締役会の議長は、議案の決定や議事進行など大きな権限を持つ。経営の見識はもとより、社内の状況についても最低限の知識が求められる。社外取締役への事前の情報提供や、取締役会で取り上げる議題の吸い上げなど、企業と社外取締役の密な連携が必要となる。取締役会の準備を担う事務局の体制強化が欠かせない。

 同社が3月20日に発表した新たな役員人事では、5人の社外取締役は全員留任させる案を示した。6月下旬に開催する定時株主総会で決議する。

 経営トップを代え、取締役の数や配置といった「形式」を整えただけでは意味がない。社外取締役もただの「お飾り」になりかねない。社外取締役の役割や期待する成果を明確にし、再発防止と成長につながるガバナンス体制であることを、株主や投資家との対話を通じて示していく必要がある。「名門」復活の鍵は、ガバナンス改革が握っている。