「2019年問題」を商機に

 リスクを回避するだけでなく、成長機会にもつなげる。例えばグループのイオンディライトは、再エネの需要拡大をにらんで電力事業を強化する。太陽光パネルを設置している家庭や地域の再エネ発電事業者から再エネ電力を調達し、企業などに販売する計画だ。

 2019年以降、太陽光で発電した電力の買い取り期間が終了する家庭が出てくる。いわゆる「2019年問題」だ。イオンディライトはここを商機と見て、売り先が無くなった家庭から再エネ電力を買い取る。

 イオンが長期ビジョンを策定するのは、投資家の要請に応える目的もある。

 例えば、企業の環境の取り組みを調査・採点・公表するCDPは、中長期視点でリスクや機会を捉えているかどうかを見ている。CDPの活動は、運用資産総額87兆ドル、650超の機関投資家が支援しており、CDPの評価は投資判断に活用されている。イオンは2017年、長期ビジョンを策定していなかったことが、CDPの評価に響いたという。

 CDPは、SBT(科学に整合した目標)を設定しているかどうかも評価する。2030年に35%削減するという中間目標は、2050年に排出ゼロにする目標からバックキャスト(逆算)して設定している。現在、SBTとしての認定を得るため、CDPや国連グローバル・コンパクトなどが立ち上げた国際イニシアチブに申請中である。

■ 2050年からバックキャストしてCO2削減目標を設定した
■ 2050年からバックキャストしてCO<sub>2</sub>削減目標を設定した
イオングループは店舗で排出するCO2を2050年までにゼロにする。この目標からバックキャストして、2030年までに2010年比35%削減する中間目標を設定した。SBTの認定を取得する見込みである

 「長期目標を掲げるからには、世界に認められているSBTが必要だ」(金丸部長)

 今後は、長期ビジョンで掲げた目標の達成状況について進捗の開示が求められるだろう。再エネ電力をどれだけ調達できるか、再エネ電力の販売などグループの事業を拡大できるかどうかが、ステークホルダーの評価を左右しそうだ。