相馬 隆宏

アサヒグループホールディングスが2050年の温室効果ガス削減目標を公表した。飲料容器の製造から商品の配送までバリューチェーン全体で対策を加速させる。

 アサヒグループホールディングスが2018年4月に公表した「アサヒ カーボンゼロ」では、2050年に事業活動から排出する温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げた。中間目標として、2030年には2015年比で30%減らす。国際社会の要請であるパリ協定の目標にも沿うよう、SBT(科学に整合した目標)の認定取得も申請した。

 アサヒ カーボンゼロの取り組みは、自社の工場やオフィスビルなどから排出する分だけでなく、原材料の生産や容器の製造、商品の配送といったバリューチェーン全体を対象に削減するのが特徴だ。

 同社にとって、気候変動は原料の安定調達に大きく影響する。ビールや清涼飲料などに使う水や農産物は、干ばつや台風などの影響で品質や生産量が低下する恐れがある。アサヒプロマネジメントCSR部副部長環境グループリーダーの倉重武志氏は、「事業成長とともに持続可能な社会の実現に挑戦する」と言う。

「ラベルレス」に挑戦

 アサヒグループ外での温室効果ガス排出量のうち、缶やペットボトルといった容器などの製造時が最も多く約4割を占める。サプライヤーの事業領域のため、アサヒが直接、手を出せない。だが、容器を薄くするなど素材の使用量を減らしたり、バイオマス素材に切り替えたりすることで間接的に排出を抑えられる。

 2018年5月に、アサヒ飲料が発売したミネラルウオーター「アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル」は、容器製造に関わるCO2排出削減の大きな挑戦といえる。ブランド名や商品名を印刷したラベルを無くした、同社初の「ラベルレス」商品だからだ。上部のキャップ付近に、表示が義務付けられているリサイクルマークを記したラベルがわずかに付いているだけ。ラベル部分のプラスチック使用量を通常の商品と比べて90%削減した。

アサヒ飲料が発売した「ラベルレス」のミネラルウオーター(左)。CO2排出削減へ再生可能エネルギーも積極的に利用する。「アサヒスーパードライ」の製造では、バイオマス発電による電力を活用する

 透明のペットボトルがほぼむき出しで、ラベルが付いた商品に見慣れた消費者の目にはむしろ斬新なデザインに映るかもしれない。通販専用商品で、今のところアマゾンの通販サイトだけで販売しているが、販路を広げればCO2削減効果も増える。

 CDPをはじめ、サプライヤーを含めたCO2排出削減を求める声が強まっており、アサヒグループのような取り組みが広がる可能性がある。