「人材」「女性」に厳しい目

 「人材採用の方針を知りたい」「人材不足が最大のリスク」など、人材の採用や育成に関する株主質問も目立った。業種を問わず、国内の人手不足は深刻さを増しており、株主にとっても大きなリスクに映る。各社の経営陣が説明に追われた。

 働き方改革や女性活躍の進捗にも厳しい目が注がれた。6月21日に三菱重工業が開催した株主総会では、株主が、「取締役会のダイバーシティについてどう考えているのか」と経営陣に迫った。

 三菱重工に11人いる取締役のうち女性は1人だけ。管理職に占める女性労働者の割合も1.8%にとどまっている。宮永俊一社長は、5月に発表した「中期経営計画の柱にダイバーシティを位置付けて取り組む。人材戦略を成長の信頼として、キャピタルゲインに結び付ける」と答えて理解を求めた。

 企業価値向上の手段としてSDGs(持続可能な開発目標)の貢献を打ち出したのが、三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長だ。株価への不満を声にした株主に対して、「非財務価値の向上とSDGsへの貢献を通じて社会へ貢献することが企業価値全体の向上につながる」と述べ、長期的な視点の取り組みについて理解を促した。

 富士通は6月25日の株主総会で、社外取締役として東京大学大学院総合文化研究科教授の古城佳子氏を選出した。古城氏は国際政治のエキスパート。田中達也社長は、「SDGsの取り組みに関する助言を期待している」と紹介した。同社の2017年の海外売り上げ比率は36.5%で、将来的には50%以上を目指している。SDGsの取り組みを海外事業の拡大につなげたい考えだ。

 株主が、株主総会を通じて企業のESG経営を後押ししている。

■ 主要企業の株主総会で出たESG関連の質問と企業の回答
TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース FSC:森林管理協議会 PEFC:森林認証制度相互承認プログラム SDGs:持続可能な開発目標
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