相馬 隆宏
仏ミシュランは、タイヤの持続可能性に関する2048年の目標を公表した。タイヤの80%をバイオマス原料などに切り替え、化石資源の価格高騰に先手を打つ。
仏ミシュランは2018年5月30日から6月1日にかけて、カナダのモントリオールで「Movin’On2018」を開催した。大手企業やスタートアップ企業、政府、自治体、研究機関など、世界60カ国から5000人以上が参加し、持続可能なモビリティ(移動手段)について意見を交換した。
イベントの開催期間中、同社はタイヤの持続可能性に関する長期目標を発表した。今から30年後の2048年までに、タイヤの原料の80%を持続可能な原料に切り替えるとともに、使用済みタイヤを100%リサイクルする。達成できれば、原油の使用を年間3300万バレル減らせる。電力に換算すると年間540億kWhになり、フランスが1カ月に消費するエネルギー量に匹敵する。

パリ協定が発効し、世界で温暖化対策強化の機運が高まっている。ミシュラン・ジェネラル・マネージング・パートナーで次期CEO(最高経営責任者)のフロラン・メネゴー氏は、「かなり挑戦的な目標だが、株主を含めてステークホルダーにミシュランのビジョンと方向性を今、知らせる必要がある」と話す。
原料高に先手
持続可能な原料への切り替えでは、タイヤ原料のうち50%に天然ゴムやひまわり油などのバイオマスを、30%に鉄やタイヤなどの再生材を使う。現在の持続可能な原料の使用比率は28%である。目標を達成するために、2012年に始めた「バイオバタフライ」と呼ぶプロジェクトの研究成果などを生かす。仏アクセンスなどと共同で、2020年までに木やわらからバイオエラストマー(ゴムの一種)を作る計画である。
ミシュランは2017年の同イベントで、持続可能なタイヤのコンセプトモデル「ビジョンコンセプト」を発表している。バイオマス原料や再生材を使い、使用後は100%リサイクルできる。ミシュラン・マネージング・パートナーのイヴ・シャポー氏は、「ビジョンコンセプトはミシュランが描く長期ビジョンを表したものだ。このコンセプトや技術を製品に少しずつ取り入れていく」と言う。
