再生材の利用では2017年買収した米リーハイテクノロジーズの技術を活用する。使用済みタイヤなどから微細粉末ゴムを製造しており、米国に生産能力が年間5万4000tの工場を持つ。

 一方、使用済みタイヤのリサイクルについては、パートナーシップを構築し、リサイクルの新手法や再生タイヤの新用途を開発する考えだ。使用済みタイヤの回収率は現在70%。50%が製品にリサイクルされ、20%が燃料になる。30年後にはすべて回収し、製品にリサイクルすることを目指す。

 ミシュラン・コーポレート・サイエンティフィック・イノベーション・コミュニケーション・ディレクターを務めるシリル・ロジェ氏は、「2050年には原油など天然資源の価格は高騰している。代替原料の開発やリサイクルを進めることで製造コストを抑えられる」と言う。

 「持続可能なモビリティは我々のDNA」(シャポー氏)というミシュランは、タイヤの環境負荷を減らしつつ、原料価格の高騰に先手を打ち、持続的成長を目指す。

ミシュラン次期CEOに聞く
タイヤがより重要になる

 自動車業界では今、電気自動車(EV)への移行が進み、自動運転技術やコネクテッドカー(つながるクルマ)などの開発が進む。大変革の時代を迎えている中、タイヤメーカーとして自動車の進化にどう対応していくのか。ミシュラン次期CEOのフロラン・メネゴー氏に聞いた。

――EVへの移行や、自動運転技術やコネクテッドカーの開発といった動きは、ミシュランにどういった影響があるか。

フロラン・メネゴー氏
仏ミシュラン
ジェネラル・マネージング・パートナー

メネゴー:自動車業界の動きには当然並走する。環境などへのマイナスインパクトをなるべく減らし、より多くの技術を提供することで革新的なクルマ作りに貢献したい。EVは今までのクルマと作りが違う。タイヤにも新しい技術が求められ、より重要な位置を占めるようになるだろう。

 車両が新しい技術を搭載すればするほど、タイヤの安全性や転がり抵抗など、すべての性能を妥協しない高い技術力が求められる。自動車業界の進化は、我々が絶え間なく培ってきた技術力を試し、みんなに公開する良い機会になる。

――モビリティの進化に対応してどういうビジネスを展開していくのか。

メネゴー:「タイヤ」「サービスとソリューション」「モビリティのエクスペリエンス(体験)」「ハイテク素材の活用」の4つのエリアでより良いモビリティをサポートしていく。

 タイヤでは、特にお客様のために「長く続く性能」を追求していくため、技術革新を推進している。ある程度使用した後も性能を維持することが必須といえる。「使い続けても長く続く安心感」を提供することが、ミシュランにとって非常に大切な使命だ。

 サービスとソリューションでは、基本的にはBtoBでの提供になるが、デジタル化を中心にタイヤの性能を最大限生かせるようなタイヤのアセット管理サービスを展開する。モビリティのエクスペリエンスは、例えばミシュランガイドのような、新しく、楽しく、信頼が置け、美しい体験をモビリティから導き出せるようなサービスの提供を進める。

 タイヤは200余りの様々なコンポーネントからできている。ハイテク素材の活用が重要だ。我々の持つ卓越した知識を様々な形で提供したい。

――「Movin’On」に何を期待するか。

メネゴー:モビリティが人類の進化にとって欠かせない重要なドライバーであり、人類により良いモビリティを提供することが我々のミッションであると信じている。ミシュランの全社員が同じビジョンを共有し、より良いモビリティの実現に向けて取り組んでほしい。

 MovinʼOnという多くの人が集まる共同プラットフォームを作ったのも同じ理由からだ。これにより、持続可能なモビリティを世に広め、その進化に貢献できると信じている。