スコープ3排出量の削減に挑むのがアシックスだ。スコープ1、2のCO2排出量を2030年までに2015年比で33%減らし、スコープ3では製品1つ当たりのCO2排出原単位を同55%減らすSBT目標を発表した。

 事業所に太陽光パネルを置いてスコープ2排出量を減らす他、調達先企業と協力して、スコープ3排出量の削減を進めている。同社はスポーツ用のシューズやウエアなどの製造を他社に委託するため、製造委託する工場からの排出量は、スコープ3全体の排出量の8割強となる。これまでも、製造を委託する海外工場で生産性を改善し、CO2を削減してきた。2017年にはシューズ1足当たりのCO2排出量を、2015年比で6.9%削減した。

 対策を加速するため、製造する時のCO2排出量が少ないリサイクル素材や、バイオマス素材の採用を進める。新たに採用したのが、植物由来の高機能材「セルロースナノファイバー(CNF)」だ。2018年6月、世界で販売を始めた高機能シューズの靴底の材料に採用した。CNFの採用により、軽量性と耐久性に優れ、CO2排出の少ないシューズに仕上がった。

米ミシシッピ州にあるアシックスアメリカコーポレーションの配送センターでは1000kWの太陽光パネルを設置
アシックスがCNFの採用により素材製造のCO2削減と高機能化を両立させたシューズ

途上国にもSBTが拡大

 SBT目標を企業に促す「SBTイニシアチブ」によれば、目標設定を済ませた企業と、2年以内の設定を約束した企業は合計465社。2018年は途上国企業の参加が目立っている。

 注目すべきはインドの財閥、マヒンドラグループの11社が目標設定を約束したこと。山陽特殊製鋼や三井物産との合弁会社、マヒンドラ・サンヨー・スペシャルスチールは、鉄鋼業で世界で初めてSBT目標を設定した。新興国の大規模な排出源となる企業の取り組みは、世界の温暖化防止に欠かせない。排出源を特定し、具体策を立てて実施する「日本式」の温暖化対策の広がりが期待される。