相馬 隆宏

アサヒグループホールディングスは、人事部門の働き方改革を推進する。身上異動などに関する社員からの問い合わせへの対応を自動化した。

 アサヒグループホールディングスは2018年8月、身上異動などの質問にAI(人工知能)が自動で回答するシステムを本格稼働した。アサヒビールとアサヒ飲料の社員約8600人が対象になる。

1500件のQ&Aを作成

 転勤や出産、育児休暇、財形制度などに関する手続き、必要書類の記入方法や申請方法などについて、パソコンやスマートフォンを使い文字で問い合わせると自動で回答してくれる。従来は、人事総務部門に電話で問い合わせていた。社員からの問い合わせへの対応に年間で約5700時間を費やしていたという。

■ 社員からの問い合わせにAIが自動で対応する
アサヒグループホールディングスが導入したシステムの画面。24時間365日対応してくれるので、日中は忙しくて時間が取れない社員にとっても便利だ

 人事総務部門の社員らに聞き取りをした結果、問い合わせの約3割が定型的な内容であることが分かった。そうしたよくある質問を基に、約1500件のQ&A(想定問答集)を作成し、AIに学習させた。例えば、結婚した場合の氏名変更の手続きについて、流れや必要書類の保管場所などをAIが教えてくれる。AIの導入によって年間で約1900時間削減できるもようだ。

 人事・総務などグループの管理業務を受託するアサヒプロマネジメント人事企画部の藍田暁マネジャーは、「業務を効率化し、グループ会社から幅広く業務を受託したい」と話す。将来は、経理や営業など人事以外の業務にもAIの活用を検討する。

 さらに、人事データの入力業務を効率化した。社員やアルバイトの採用や人事異動、退職・休職などの際にグループ各社から申請された人事データを、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が自動で人事や給与管理システムに登録するシステムを導入した。

 人事データはグループ会社によって管理項目が異なっているため、申請される書式も統一されていない。そこで、書式の異なるデータをRPAが読み取り、人事管理システムに登録できる形に自動で変換する仕組みを構築した。

 これまでは、年間約3万6000件の人事データをすべて手で入力しており、その作業に約1300時間かかっていたという。例えば、飲食店を運営するグループ会社では、夏季にビアガーデンを実施する際に短期間で数百人のアルバイトを雇っており、そのたびに大量の人事データの登録作業が発生していた。

 産業界で人手不足が続いている中、AIやRPAの活用がますます広がりそうだ。