チームワークの悪化、若手の育成機会の激減、できる人とできない人の二極化――。テレワークの弊害として明らかになりつつある問題は、過去にも多くの日本企業を悩ませた。1990年代終わりから2000年代初めにかけて広がった「成果主義ブーム」でも同様の問題が指摘されていた。成果主義の失敗から何を学べるのか。

(写真:123RF)

 前回の終わりに、テレワークでは組織運営上や人材育成上の様々な問題が発生しやすく、それはジョブ型雇用に内在する問題に通じるものであること、さらにそれらは正に成果主義ブームの時にも指摘された課題である、と述べました。そこで今回は、成果主義を振り返り、ジョブ型雇用導入にあたっての教訓を引き出したいと思います。

成果主義ブームの背景

 成果主義とは、1990年代終わりから2000年代初めにかけて、わが国大手企業の間で広がった「成果・結果重視の評価・報酬制度」です。このブームが生じた背景には、平成バブル崩壊以降、経済停滞が長引き、それまでの年功賃金制度による人件費負担が重荷になる状況が常態化したことがありました。当時、わが国企業で普及していた人事評価制度は「職能資格制度」と呼ばれ、社内ポスト(職務内容)とは切り離された、当該企業の社員としての有能さを評価する社内資格(職能資格)によって賃金を決めていました。いわゆる終身雇用を前提にしていたため、「遅い選抜」により、若手・中堅まではポストに差をつけるものの評価にはあまり差をつけず、賃金は年功的に運用されてきました。

 それは、かつて日本社会全体が若く、社員の平均年齢も若い時代には、有能な若手社員を社内ポストにかかわらず抜てきし、人件費も抑えられるというメリットを発揮して、日本企業の成長を支えてきました。しかし着実に人口構成の高齢化が進むなか、人件費負担が徐々に重荷になり、役職定年制度や専門職制度の名目で、中高年の賃金抑制策が講じられてきました。それでも高めの経済成長を遂げていた80年代までは売り上げ増が人件費増を吸収してくれましたが、90年代、とりわけその後半以降は景気が長期停滞し、人件費削減に本格的にメスを入れざるを得ない状況になったのです。

 こうした文脈で導入されたのが成果主義でした。当時、世界経済を席巻し、エクセレントカンパニーを輩出している米国流の人事評価制度に倣い、職務内容や成果によって賃金を決めることで、人件費をコントロールしようとしたのです。年功賃金は悪平等でモチベーションを下げているということで、個人別の賃金差をつけることで社員間競争を促し、生産性を高め、企業成長を促すことも期待されました。