人件費削減でみかけの業績を改善

 成果主義の導入は、人件費削減という面では絶大な効果を上げました。それまで鈍化しつつあっても右肩上がりで推移してきた一人当たり賃金が、成果主義ブームを経て下落傾向に転じたのです。

 半面、様々な副作用が生じました。まず、日本企業組織の利点とされてきたチームワークが悪化しました。年功的処遇のもとで仲間として協力してきた同僚は、個人評価を上げるためには蹴落とすべき競争相手となりました。プレーイング・マネージャーの美名のもとに管理職にも成果目標が与えられたため、部下の面倒を見なくなりました。結果として、人材育成は十分になされず、できる人とできない人の二極化が明確化し、職場の雰囲気がギクシャクしました。

 こうした副作用が明らかになるにつれ、コミュニケーションや人材育成の重要性が再認識され、それらが管理職の重要なミッションとして再度位置づけられることになりました。とはいえ、企業成長を促すという目標は達成されないケースが多かったと言えます。なぜなら確かに企業収益は改善しましたが、人件費削減が主因であり、企業が生み出す付加価値総額の低迷は続いていたのが実態だったためです。

[画像のクリックで拡大表示]
図●1990年代後半から2000年代前半の付加価値額、企業収益、人件費の推移。人件費の削減が収益回復に寄与した(出所:財務省「法人資料統計」)