日本流のジョブ型雇用について考える連載。最終回は就社型とジョブ型を併用したハイブリッド型の在り方を考える。「コア人材は生え抜き、周辺業務は非正社員」という従来の切り分けが変わり、特定分野のプロをコア人材として外部から招くなどの新しいやり方も普及していく。

 前回の終わりに、「就社型とジョブ型のハイブリッドをどう構築するか」がいま日本企業が取り組むべき課題と述べました。最終回となる今回は、そのハイブリッドの在り方を具体的に考えてきます。

 まず、「人材ポートフォリオ」という考え方が求められます。これは、企業の経営戦略・事業戦略から考えて、異なるタイプの人材をどう組み合わせるのが効率的なのかを考えることです(注1)。より具体的には「事業の展開にあたってコアとなる労働力を、内部の生え抜きによって調達するのか、外部の人材を採用するのか」「周辺業務を担う労働力を正社員に委ねるのか、非正規労働者を雇って任せるのか」といったことを構想します。

職業人生の前半は就社型、後半はジョブ型

 かつての日本企業では、事業展開のためのコアの労働力は専ら生え抜き正社員を当て、周辺業務はパートやアルバイトに委ねてきました。今後は、「革新力」が求められる新規事業分野を中心に、コア労働力として特定分野のプロを外部から採用して活用することが必要になります。言い換えれば、「品質力」と「革新力」を両立させるために、コア労働力に「就社型」人材と「ジョブ型」人材を組み合わせるということです。

 こうした発想で人材のマトリックスを整理すると、正社員も分化し、非正社員が担っていた仕事を正社員が担当するなど雇用の在り方も変わっていくでしょう。

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図●人材タイプマトリックス

 以上は企業の事業面を切り口としていますが、個人のキャリア形成という観点からもハイブリッドが重要になります。端的にいえば、職業人生の前半は就社型、後半はジョブ型の組み合わせです。

 欧米と異なり、わが国では学校教育の段階で実務的な職業能力が身に付く仕組みとはなっていないため、基本的に企業は、職種を決めずに採用せざるを得ないところがあります。採用されてから複数の仕事を経験し、適性のある職種に就くのは合理的な仕組みであり、わが国で若年失業率が低い理由にもなっており、積極的にこれを放棄すべきではないと思います。ただし若者の一部で、キャリア自律意識が高く極めて優秀な人材が、外資系企業などに流れる傾向が高まっており、例外的に職種別採用を行うことがあってもいいと思います。

 また、将来のキャリア自律の必要性を考えれば、極力本人の希望を尊重して配属し、そうでないときも、どのように将来のキャリアにつながるのかを説明していくことが企業には求められるでしょう。旧来の発想で配属は企業人事の専管事項だと高をくくっていると、今の若者は簡単に辞めてしまいます。それは本人にも企業にも良くないことといえます。希少になる貴重な若手戦力を、厳しくも優しく見守りながら育て鍛えていく発想が重要でしょう。

 こうして入社3~5年の間にいくつかの職種を経験し、希望と適性を見ながら30代に特定職種での経験を積み、習熟度に応じて昇給を実施する就社型の仕組みを残す形で処遇することが望ましいでしょう。その後一定以上の職位になれば、ジョブ型に転換し、職務・成果型の実力主義の報酬体系に移行すべきです。

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