2021年10月に衆議院議員選挙が行われた。案外知っていそうで知らないのが選挙に関するルールである。社内で選挙違反が起こることを防ぐためにも人事担当者は、このルールを押さえておくべきだろう。
(写真:123RF)
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 選挙戦では昔ながらの候補者の街頭演説や選挙カーでの名前の連呼も行われているが、最近は一般の会社員による「〇〇候補は、とっても優れた人なので、ぜひ清き一票をお願いします」といったSNS(交流サイト)上の応援投稿なども数多く見られる。このような応援は違法行為にならないのか。会社の就業規則上問題はないのか。

 社員の選挙活動について、ある会社の同期の課長同士が以下のような会話をしている。

佐藤 総選挙が終わったねー。

田中 〇〇先生は、苦戦したけどもしっかり当選したので、うちの会社としてはちょっとホッとしたわけだ。

佐藤 実は、この件でちょっと困ったことがあるんだ。たまたま部下のSNSを見てしまったのだけども、選挙期間中、〇〇先生のライバル候補をえらく派手に応援していてびっくりしちゃった。

田中 えっ、それは困るな。でも、その前にそもそも法律問題としてSNSで応援活動しても良いんだっけ?

佐藤 昔はダメだったけど、今はOKになったらしい。

田中 おお、なるほど。でも、上司としては困るね。「〇〇先生を応援しろよ」とはおおっぴらには言えないんでしょ。

佐藤 そのあたりは空気で察してほしいのだけども、リモートだから空気も伝わらない(苦笑)。だからといって「うちの会社に入った以上、〇〇先生を応援しろ!」と強制したらそれこそ大問題になるでしょう。

田中 うん、きっとそうだ。それにしてもSNSはいろんな人が見るから困るね。君の部下の投稿が〇〇先生のところの関係者やうちの役員の目に触れないことを祈ろう。

佐藤 ほんと、祈ってるよ。

田中 そもそもお客さんのなかには、政治に関する発言そのものを好まない人もいるでしょう。

佐藤 それは実際にいる。お客さんの支持している政党と異なることだって当然あるし。支持する政党が同じか違うかという話と、うちの商品を購入してくれるかどうかは、まったく関係がないはずなんだけども、実際には関係することもある。

田中 他の社員を政治活動に巻き込むのもできればやめてほしいし。

佐藤 政治と仕事の関係は難しいね。あるべき姿と本音の乖離(かいり)はどうしても出てしまう。

田中 そうね。ところで、君の部下はSNSの投稿を何時ごろにやっているの? 確認した?

佐藤 気にしたことはなかったけども。ちょっと見てみようか。うーーん。どうも朝から昼にかけてと思われる。つまり就業時間内ということだ。

田中 リモートワークだから、家から投稿しているんだな。ところで、うちって就業時間内に政治活動をやってもいいんだっけ?

佐藤 いや、そのあたりは厳しかったような気がするな。ちょっと確かめておいたほうが良さそうだ。