この11月に某大学のトップがリベートに関する問題で逮捕された。健全な組織でも、私利私欲を優先するような人間が上層部にいると悪の組織になってしまう恐れがある。このような状況に陥ったら、どうすればよいのか。秋山氏が指南する。
(写真:123RF)
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 世の中には、ひどい会社が存在する。入社前からひどければ、我慢はできるだろうが、自分の愛する会社がおかしな輩(やから)に支配されて、悪の組織になってしまうようなこともある。以下は、ベテラン社員2人の会話である。

田中 この間、調達先の役員に会ったんだけども、えらく嘆かれてね。

佐藤 もしかしたら、若社長の取り巻きの話?

田中 そう。大幅な値下げを要求され、しかも直接取引せずに、わけのわからないトンネル会社を通せという。ブツはもちろん直接納品で。

佐藤 うちの会社は、そのトンネル会社から買うことになるんだな。その差額がトンネル会社に入る。あいつらの遊興の源だ。

田中 聞いた話では、クルーズ船でお戯れされているとか。

佐藤 派手に遊んでいるらしいね。

田中 「先代社長のころは立派な企業だったのに、先代は子育てを失敗されましたね。もう少し長生きしてほしかった」と調達先の役員は言っていた。

佐藤 若社長は、結局一度もビジネスの現場を体験することもなく、箔をつけるために大学院に行って、得たのは筋の悪い友達だけだった。さらには、よせばいいのに、そいつらをうちの会社の役員にしてしまうんだから、もうどうしようもない。

田中 そして、我々のようなうるさい年寄りは遠ざけられる。

佐藤 それにしても、あいつらはやりたい放題だな。ハイエナみたいだ。

田中 いったい何やってるの?

佐藤 ほとんどすべての取引でトンネル会社を使う。さらに個人的なリベートを要求する。豪勢に接待しないと突然取引を止める、ということらしい。

田中 らしい、か。社内人事は明らかに露骨だよね。

佐藤 ちょっとでも異論を挟もうとすると、すぐに左遷だし。一方、取り入る奴はものすごく早く出世する。

田中 若社長はどういうつもりなんだろう。

佐藤 数字しか見てないし、もともとビジネスに興味はない人だからな。芸術家のパトロンとして生きていければよいわけで……。それに、うちの会社もまだそれなりに余裕はある。

田中 でも、こんな状態が長く続けば確実に会社はダメになるよな。

佐藤 優良な取引先は去り、やる気のある社員は去り、過去に培った信用をごまかしながら使って、ほそぼそと生きていくのみだ。

田中 あいつらを追い出す方法はないんだろうか?

佐藤 社内の内部通報窓口は、あいつらの支配下にある。外部の通報窓口もお友達の弁護士のところだ。監査役もまったくあてにならない。

田中 株主も社長一族が過半数をもっているし、あとは古くからの安定株主ばかりだ。

佐藤 マスコミとかに投書してみるか?

田中 投書なんかしても、うちみたいな地味な会社の話は記事にするわけないよ。ネットに何か書き込むか、納入先に怪文書でもばらまくくらいが精一杯だな。

佐藤 ということは、結局、何もできないのか。

田中 老兵は、ただ消え去るのみだ。我々はあと数年、窓際族としてこの会社の死にざまを見守るしかないんだろうね。

佐藤 ……