人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~
「ジョブ型雇用」などがバズワード化し、「日本型雇用からの脱却」が叫ばれているが、その本質を果たして理解しているだろうか。20年以上現場を見てきた著者が、ファクトに基づいてロジカルに解説。本気で日本型を変えるために今やるべきことを考える。
連載記事一覧
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30年間空回りしたリーダー育成論争に終止符を
全員一律の底上げは得意だが、リーダー育成が苦手と言われる日本企業。30年以上前から問題意識はあったが、一向に改善しない。それというのも「未来を予測して必要な人材像を明らかにする」というそもそも無理な作業に力を注ぎすぎるからだ。
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育成の基本は「成長の階段」を作ること
育成の基本は易しい仕事を寄せ集めてやらせて、できるようになったら、少しずつ難しくしていく「ゆでガエル」方式。ところが成長のために「よかれ」と思って難しい仕事をさせようとしても、若手社員が嫌がることも。パワハラも問題視される昨今、どう対応すべ...
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メガバンクや総合商社に中途入社するには
昇進の早い「TypeB」に続き、知識や経験の積み上げが重要な「TypeA」の人材管理について考える。年功昇給を大きくし、長期勤続を促すのが定石だが、中途が入り込みにくいことが課題。そして「どちらもそこそこ」の「TypeC」は、さらに3タイプ...
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リクルートの人事制度を総合商社がマネできない理由
自社の「キャリアの形」を把握しないまま、エクセレント・カンパニーのきらびやかな人事制度を導入してもうまくいくはずがない。キャリアの形の見極め方を学び、それぞれの人材管理の要諦を知ろう。まずは若くして昇進できる「TypeB」だ。
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20代で部長になれる会社となれない会社、その本質的な違い
20代からどんどんポジションが上がる会社と、何年も知識と経験を積んでようやく一人前と認められる会社の差はどこにあるのか。実はキャリアには3つの類型があり、形の異なる会社の人事制度を真似してもうまくいかない。
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日本のデフレの原因はガラパゴス組合!?
日本では当たり前の「社内労働組合」は、実は世界では珍しい存在だ。欧州では業界横断組合が経営者団体と一括協議し、横並びでストライキなどを行うから労働者の権利が守られやすい。実は日本型の組合がデフレの遠因にもなっている。なぜか。
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誰もが階段を上ら“ねばならない”社会との決別
日本に特有の「ミドルの雇用不安」という問題。昇進・昇給し続けるから人件費がかさみ、実務から離れるのでリストラの対象になりやすい。階段を「下りる」という選択肢があれば、欧米のジョブワーカーのようにワークライフバランスを重視した生活も可能になる...
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夫婦二人で分担し、女性も坂道を上る
女性が日本型の「誰でも階段」を上り続けるうえでは、家事や育児を一人で抱え込むことは厳禁。配偶者と分担し、ベビーシッターなど外部のサービスも大いに使うべきだ。公的補助も使えばコストはかなり安い。階段から下りずに、キャリアの暴風雨期を乗り切る策...
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「誰もが階段を上る」キャリアが女性の社会進出を拒んでいる
2000年以降、企業で働く女性は増え、結婚や出産といったライフイベントを経ても仕事を続けるようになった。一方で育休取得率の低さに代表されるように男性の家事負担はなかなか増えない。誰もが階段を上り続けることを強いられる日本では、夫が昇進を選ぶ...
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「女性活躍推進」が終わっても女性管理職は必ず増える
政府は管理職に占める女性の割合を30%にする目標の達成年限を、2020年から2030年に繰り延べした。女性活躍に尽力した人事担当者には厭戦感も漂うが、女性を巡る雇用の歴史をひも解けば、2030年には課長、部長クラスの女性シェアが3割に届く道...
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「同一労働同一賃金」、理想と現実の大きすぎるギャップ
非正規雇用の待遇底上げのキーワード「同一労働同一賃金」。この原則に沿えば、正社員と非正規の職務を明確に分離しなければ待遇に差を付けることは認められない。日本でも非正規雇用の多い流通・サービス業では職務分離のノウハウを持っている。
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[日本型の問題その4]非正規雇用とは「過去の日本型」の安全弁
日本型雇用の二つ目の問題は「非正規雇用」。日本の非正規雇用労働者は、国際的に見て労働時間が長い一方で報酬が著しく低い。その理由は「お父さんの雇用を守る」ためだった。
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[日本型の問題その3]時短と日本型雇用システムとの果てしなき闘い
「顧客」と「上司」に阻まれて時短が進まない日本の職場。欧米には無茶な要求を押し付ける顧客や、それをそのまま引き受けて部下に押し付ける上司が生まれるのを防ぐ仕組みが存在している。ただしそれを日本に取り入れるには、様々な障害が立ちはだかる。
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[日本型の問題その2]帰宅を阻む「二神教」社会
2019年の労働基準法改正は、時間外労働に厳しい上限を設けるなどして日本の長時間労働の是正を図った。これは一定の効力を発揮したものの、今もなおサービス残業などが続いている。その背景には法律を超えた二つの「神」の存在がある。
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[日本型の問題その1]50年間ずっと変えられなかった長時間労働
日本型の「誰もが階段を上る」雇用スタイルは、過重労働という問題をはらむ。日本人の労働時間の長さはOECD41カ国でワースト4位。データではこの30年で160時間以上減っているのだが、実はこの数字も実態を表してはいない。
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ミドルが生きづらいのは日本だけ?その構造的な理由
若年層の失業率が長年の課題である欧米に対し、日本ではミドル/シニア層が「お荷物」と見なされ、リストラ時には真っ先にやり玉に上がる。雇用を巡る社会問題の違いも実は、両者の雇用の仕組みが異なっていることに起因している。
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欧米には日本人の知らない二つの世界がある
残業が多く休みが取りにくい日本に比べ、欧米はワークライフバランスに優れ、女性も働きやすい。それというのもジョブ型雇用だから――。まことしやかに伝わるこんな話は大間違い。欧州企業にはジョブ型労働者とエリート層の二つの世界が存在し、働き方は全く...
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「ジョブ型なら若くして出世できる」という勘違い
日本型雇用では多様な経験を積ませて育てるので、下積みの期間が長い。対してポストありきで採用するジョブ型なら、専門性を磨き、実力が認められれば若いうちから昇進できる。「ジョブ型神話」につきまとうこんなイメージは果たして真実なのか。
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なんだかんだ言っても新卒一括採用が最も合理的
日本型雇用の代名詞である「新卒一括採用と終身雇用」はなぜ普及したのか。途中解雇が難しいのはなぜなのか。人事の一般常識を覆す真実を明らかにする。ヒントは「ヨコヨコタテヨコ」だ。
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今の時代にJDで細かく定義されたジョブなどありえない
ジョブ型雇用に必須なのが「ジョブディスクリプション(職務記述書、JD)」。仕事をタスク分解して定義し、まとめてJDにしておけば、仕事の範囲が明確になりブラック労働も発生しない――。こうした「JD神話」はたくさんの矛盾をはらんでいる。