日本型雇用の二つ目の問題は「非正規雇用」。日本の非正規雇用労働者は、国際的に見て労働時間が長い一方で報酬が著しく低い。その理由は「お父さんの雇用を守る」ためだった。

(写真:123RF)

 今回から、日本型雇用が生み出す二つ目の問題=非正規雇用について考える回となります。この問題が、日本型雇用にどう結びついているのかを、構造的に説明していくことにしましょう。

 

「誰もが階段を上れる」裏には非正規の低待遇があった

 連載第7回「『ジョブ型なら若くして出世できる』という勘違い」で示したフランス人の年収カーブの図表を再掲しておきます。

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 図表中にある製造・資格労働者などには、工員・販売院・事務員などが含まれます。日本だとこうした職務が非正規雇用の主領域となっています。そこで、両者を比較してみましょう。

 フランスの製造・資格労働者は年収300~350万円程度、一方、日本の非正規労働者(フルタイマー)は年収250~300万円であり、フランスの無資格労働者と比べてもまだ低い状況です。日本の非正規でパートタイマーとなると(フルタイム換算の年収で)、それよりもさらに50万円以上も低い年収となります。

 しかも、フランスの労働者はフルタイムでも年間労働は1500時間程度。対して日本のそれは1900時間程度。労働時間が400時間も長いのに、年収はかなり下なのです。時給で比べると、フランスは日本の1.5倍以上もらっていることになるのがわかるでしょう。

 さらにフランスではこうした仕事をするのも正社員(=無期雇用)なので、契約期間が終わったらサヨウナラと言われることはありません。有給休暇も100%消化、長い夏休みがあり、しかも残業もほぼないという環境です。こうしたことを考えていくと、日本の非正規雇用の待遇が良くないことは間違いありません。

 逆に言うと、こうした低待遇者が労働者の3割以上も占めているため、日本の正社員は「全員が階段を上る」キャリアを描けるということでもあるのです。とすると、私たちがこれからの雇用や人事を考えるならば、この「非正規の低待遇」問題は避けて通れないことだと言えるでしょう。

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