政府は管理職に占める女性の割合を30%にする目標の達成年限を、2020年から2030年に繰り延べした。女性活躍に尽力した人事担当者には厭戦感も漂うが、女性を巡る雇用の歴史をひも解けば、2030年には課長、部長クラスの女性シェアが3割に届く道筋が見えてくる。

(写真:RF123)

 非正規雇用の回でも触れましたが、日本型雇用の大きな問題は「女性の労働参加」です。非正規雇用の圧倒的多数が女性であり、しかもそのまた多くが主婦。就職氷河期に代表されるような「年代差」の問題よりも、性差の方がはるかに大きいという事実が厳然として存在します。

「男社会は変わらない」と安易に嘆かないで!

 私はこの点について、雇用ジャーナリストとして駆け出しのころから声を大にして言い続けてきました。ただし、一部の煽情的なムーブメントに対しては一線を画しています。

Q1.男女平等ランキングの2020年度版が発表されました。そこでは日本は121位となり、06年の指数発表開始以来、最低の順位になっています。また、「2020年までの指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という2030運動も、令和2年7月に「先送り」が決定されました。日本は本当に変われないのですか?

                                     

 こうしたことから、「日本の女性活躍は絶望的だ」という論調が広がりつつもあります。

 そして、悪いことに企業なかんずく人事の間には厭戦感が漂い始めました。「社内的にここまで女性活躍に注力しているのにダメなのか…」と。

 10年以上前から女性活躍を叫び続けてきた私からすると、このあたりの「煽情的なジャーナリズム」に対して、腹が立って仕方がないのです。

 2030運動などはなからうまくいくわけがないことなど分かっていました。それがうまくいくもいかないも関係なく、日本社会は急激に女性を受け入れる方向に変化を見せています(もちろんまだまだ足りないことだらけですが)。

 2030運動が安倍内閣時代の「女性活躍推進」で追い風を受け、上場企業に女性役員一人を置く努力義務が叫ばれ出した2013~2014年当時。私はこの運動を推進していた経産省の坂本里和経済社会政策室室長(当時)や小室淑江氏(ワーク・ライフバランス社長)などとの対談で以下のようなことを明言していました。

 「管理職になるには、相応のキャリアが必要だ。現在(2013年当時)だと、多くの企業で大卒30代前半の女性は数がそれほど多くない。だから2020年には間に合わない。ただし、その数は急激に増えている。本丸は2030年だ」

 こうした私の発言に対しては、「年代関係なく女性を抜擢すればいい」などという話がよく出ました。ただ、それでも無理なのです。なぜなら、課長や部長には、とうの昔にその地位に就いたロートル層が多々います。彼らが役職定年にならない限り、いくら若手管理職で女性の数を増やしても、率は上がらないからです。

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