2000年以降、企業で働く女性は増え、結婚や出産といったライフイベントを経ても仕事を続けるようになった。一方で育休取得率の低さに代表されるように男性の家事負担はなかなか増えない。誰もが階段を上り続けることを強いられる日本では、夫が昇進を選ぶなら、妻は「マミートラック」に入らざるを得ない。

今回はのっけから質問に入ります。
Q1.欧米では長期育休をとる父親も多いのに、なぜ日本では少ないのでしょう?
「学び、働き、産む」という過重負担が女性にのしかかる
答えに入る前に、現状をデータで示しておきます。
育休の男女別取得率(正社員)を見てみると、女性が8~9割の高率で推移しているのに対して、男性は地を這うような低さです。昨今急速に数字が伸びたとはいえ、その割合は5%超。しかし実際はそこまでも行っていないと私は見ています。
こうした「男性の育休取得率」はインチキをすれば簡単に上げられるからです。例えば、たった1日か2日育休を取っただけでも、それは「取得率」にカウントされるのです。女性がフルに何カ月も育休を取るのに対して、男性は数日しかとらない。それでも取得率は5%にしかならないというのだから、男女差は厳然としていますね。
もう一つ、こんなデータも見てください。昨今では正社員であれば女性でも、結婚や出産の後も仕事を続けているというデータです。
さらにもう一つ。前回も引用した、大学新卒者に占める女性の割合のグラフです。2000年以降、どんどん高まっています。とりわけ、大手中堅企業でその数字はぐんぐん伸び、今ではほぼ男女半々になっているのが分かるでしょう。
これら3つのデータを合わせると、女性のキャリアはどのようになっていくか、分かりますか?
大学卒業後、男性並みに就職し、結婚でも出産でも辞めない。ただ、育児は女性ばかりの過重負担となる、ということに他なりません。