日本に特有の「ミドルの雇用不安」という問題。昇進・昇給し続けるから人件費がかさみ、実務から離れるのでリストラの対象になりやすい。階段を「下りる」という選択肢があれば、欧米のジョブワーカーのようにワークライフバランスを重視した生活も可能になるのだが…。

(写真:123RF)

 「ミドルが生きづらいのは日本だけ?その構造的な理由」で書いた通り、日本型の「誰もが階段を上る」キャリアには5つの問題がありました。いよいよそのラストである「ミドルの雇用不安」について考えることにいたします。

 

 既に書いた通り、欧米ではミドルの雇用不安はあまり大きな問題とはなっておりません。それは、多くの一般労働者は昇給も昇進も少なく、若年時に近い賃金・職位で働くことにあります。ただ、この仕組みは、二つのデメリットがありました。これだと、若年者を雇うメリットがなくなるために、若年失業率が上がること。そして、昇進も昇給もなければモチベーションが保てないことの二つです。

 日本の場合は、昇進・昇給が前提となるキャリアのため、若年年収は低く、その分、雇用が進みます。一方、熟年者は年収が高く実務からも遠ざかるため、不況時に雇用不安が起きてしまう…。とりわけ、規模の大きな企業になると、年功昇給は大きく、そのため、市場給とも乖離を見せます。結果、「辞めてもこんな高給では誰も雇ってくれない」と会社にしがみつく人が増える。そうなればなるほど、会社は彼らを抱えておくことに頭を悩ませる、という悪循環が起こることになります。

 日本企業がミドル問題を解決するために使った処方箋は、「課長以上の等級へは昇級審査を厳しくし、なかなか管理職に上げない」というものです。結果、賃金構造基本統計調査のサンプル数をもとに推定すると、規模の大小問わず、50~54歳男性・大卒・正社員という一番管理職比率の高い年代でも、半分以上がヒラまたは係長に留まる、という状態になってきました。つまり、現在では管理職になれない人の方が多くなっています。

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 ただし、そこから先が問題なのです。

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