自社の「キャリアの形」を把握しないまま、エクセレント・カンパニーのきらびやかな人事制度を導入してもうまくいくはずがない。キャリアの形の見極め方を学び、それぞれの人材管理の要諦を知ろう。まずは若くして昇進できる「TypeB」だ。

(写真:123RF)
 

 前回はキャリアの形がTypeA/B/Cの三つに分けられることを説明しました。ちょっと復習してみましょう。

 PCに例えて、「どこでも通用するようなヒューマンスキル」に分類される要素を「OS」、「ある業界でしか通用しない知識・経験・風習など」を「アプリケーション」とすると、TypeAは「OSが小、アプリが大」で業界知識やノウハウを長年かけて積み上げる仕事、TypeBは「OSが大、アプリが小」で業界知識やノウハウを2年程度で習得でき、優秀者はすぐに頭角を現す仕事、TypeCは「どちらもそこそこ」という仕事でした。

 今回はこんな問題を考えてみましょう。

Q1.ニュースで取り上げられていた面白い人事制度を自社に取り入れるとうまくいくのでしょうか。

 人事の基本は、企業内の「キャリアの形」に合わせることが大切です。そうすることで、採用・育成・配置およびそれらにかかる投資が最適になるからです。

 例えば、1年で一人前に育つような事業だったとすると、長期雇用を前提に制度設計する必要はありません。それくらいの短期育成が可能なら、勤続のインセンティブは下がります。当然、年功給にする意味もない。ましてや、育った後に、個人能力により業績差が大きくなるような事業であれば、業績が高い一群は辞めないでほしいが、業績が低い一群に長期勤続を促す理由はないでしょう。とすると、人事制度設計もこの「キャリアの形」に合わせたものになっているべきです。このことはすでに前節で触れました。

 つまり、自社のキャリアの形をまず把握することが大切なのです。ところが、この分類を全く考えず、流行りもの好きな人事クンたちは、エクセレント・カンパニーが実施したきらびやかな人事制度を競って導入しようとする。

 だから失敗するのです。

 ということで、まずは自社の「キャリアの形」のメインストリームを把握する方法を提示しておきます。

3年目と8年目の社員で、平均業績は何倍になっているか?

 まず、御社の「主戦力(お金を稼ぐ)となる職務」は何でしょうか? 大方の企業であれば、営業もしくはエンジニアとなるでしょう。その他まれに、商品開発などを選ぶ企業もあるかと思われます。

 続いて、メインの職務に就く人の、入社3年目の社員と、8年目の社員の平均業績を出してください。営業であれば「売上高」で簡単に数字が出ると思います。エンジニアや商品開発であれば、担当ポストの「管掌規模(予算金額)」で出せばいいかもしれません。

 8年目社員の平均値が、3年目社員の2倍以上となる場合、その企業はTypeAタイプのキャリアだと見て、まず間違いありません。

 普通(平均)にやっていても、3年目から8年目までの5年間に、職務規模が倍以上になっています。それだけ知識と経験がモノを言うということでしょう。この場合であれば、年功に応じて業績を上げてくれるのだから、長期勤続を良しとし、年功給としても問題は全くありません。銀行、商社、メーカーなどいわゆる日本の重厚長大産業の多くはここに入る可能性が高いと言えるでしょう。

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