日本にはびこるTypeAの人事制度の呪縛

 長く人材ビジネスに携わってきたので、こうした「中途採用の法則」がありありと分かるのですが、実は日本の場合、TypeBやTypeCの大手企業でも、このTypeA向けの法則を、暗黙の了解にしているケースが多いのではないか、と感じています。

 いや、採用のみならず、給与処遇などもTypeAのマイルドコピーとしている大手企業が多すぎるでしょう。積み上げ要素よりも個人特性が重要なTypeB企業では、年功給をやめて初任給を上げる方が人事効率は高い。TypeC企業でも販社のように大手の冠で採用にそれほど困らない場合は、長期勤続バイアスを強くする年功給よりも、やはり初任給を上げた方がよいのです。

 そして、TypeB、C企業の採用は新卒偏重にする必要はなく、また「中途採用の法則」とも関係ない、もう少し自由な人材補強をすべきです。身内自慢のようで少し気が引けるのですが、私がいたリクルートは、明らかにTypeBであることを自覚し、TypeAの呪縛から早々に解放されて独自の人事制度を敷いているから、採用もうまくいくのだと思っております。

大手グループの販社には人事制度変革の余地あり


 さて、キャリアの形、最後はTypeCについてです。

 前回の復習も兼ねて書くと、このキャリアタイプを持つ企業には、
1.定型的な業務を続ける仕事(保険の査定員、銀行の窓販、ヘルプセンター、 ルートセールスなど)
2.強力な製品力やブランドがあり、誰が売っても大差なく売れる企業(大 手メーカーグループの販売子会社など)
3.諸事情ある中小企業
が入ります。

 まず1ですが、こちらは今でも中途採用が主流となり、出入りが激しいという特徴があります。事業効率を上げるためには、出入りが起きても業績に響かない体制作りが重要でしょう。そのためには、教育マニュアルの充実、トラブルへのエスカレーション体制の充実などにぬかりのない企業が成功しています。人事制度的には、現場スタッフのうち、優秀な人をスーパーバイザーへと引き上げ、教育やトラブル対応のプロに育てると同時に昇給を行うことがポイントです。

 2の販社は、大手の冠があるため新卒でそこそこ採用がうまくいきます。ただ、社内の重役には親会社からの天下りが多くなる。つまり、新卒採用しても、天井が低いため他に流出しがちです。そこで、将来有望な社員などは、30歳くらいの早期に親会社へと逆出向させ、その後の成長を見て、転籍させるコースを作るのがよいでしょう。そのことで、「販社からも親会社に行ける」という一つの「花形コース」ができ上がります。そして、彼らが重役として舞い戻るキャリアパスなどを作るのもよいでしょう。