優秀人材のプールを作り、タレントマネジメント・データベースで管理して早期選抜。さらにサクセッションプランで後継者も決めておく―。欧米型の人事管理が日本にも浸透しつつある。だが人事部が早くから優秀人材に目を付け、中途退社も少ない日本で欧米型の人事管理は本当に必要なのか。

(写真:123RF)
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 リーダーシップ開発(LDP)の後半として取り上げるのは「人事管理」についてです。前回掲示した図を、この部分に絞って再掲しておきます。

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 前回の「経営戦略」のパートでは、日本企業が失敗した理由は、「精緻に考えすぎること」「一律で考えすぎること」の二つに尽きると書きました。日本企業が「人事管理」で失敗した主因は、欧米と日本の違いを知らずに、向こうの仕組みを直輸入したことにあります。本書の主旨そのものと言えそうですね。この部分について、復習もかねて説明してまいりましょう。

かつて欧米に人材データベースはなかった

Q1.昨今、「タレントマネジメント・データベース」がなぜ騒がれるのですか?

 まず、欧米で①のタレントマネジメント・データベース(DB)なるものが近年重要になってきたのはなぜかお分かりですか?

 本連載で何度も書いた通り、欧米の人事管理の基本は、ポストであり、人ではありません。ポストの数が末端まで決まり、ポストは職務を表し、ポストで給与が決まります。そのポストに対して、人をどう張り付けるか、それこそ、トランプの札を置いていく感覚なのですね。

 というわけで、古くから欧米の人事システムはポストについてのDBが詳細に設計されていました。誰がいつ就いたかなどがすぐ分かる仕組みです。

 ポストに関しても、「どんな仕事をするのか」が分かるようになっています。それこそ、1970年代まではジョブディスクリプション(職務記述書、JD)がポスト管理の主役であり「どのポストがどんなタスクでできているのか」が明確に示してあったわけです。ところが、ホワイトカラーが主流になってくると、JDがだんだん意味をなさないものになっていきます。そこで1980年代にどうしようもないカオスに陥ってしまいました。

 ここから抜け出すために、ポストをJDで細かくタスク管理するよりも、そのポストに必要な職務能力を書くべきだ、という方向にチェンジします。そうして、ポストごとにその必要な能力を定めてDBに書くようになっていきました。

 このときに重宝されたのが、実はコンピテンシーなのです。このポストにはどのようなコンピテンシーが必要か、とリスト化されていくのですね。

 ここでまた、はたと気づきませんか? コンピテンシーに関しても、その理解を日本人は全く間違えていたということに。日本ではこれを「人」の能力だと思っていたのです。すると当然、職能等級と何が違うのか、という論争になり、保有能力が職能等級で、発揮能力がコンピテンシーだ、などと苦し紛れの説明となってしまうのです。

 ところが元をたどれば、コンピテンシーもポストにくっつくものだったわけですね。「このポストにはこういう能力が必要だよ」と。であれば当然「発揮能力」で当たり前です。

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