インターンシップは長く、採用直結で

――次のお題は、さっき海老原さんのお話にも出ました「インターンシップ」です。

[画像のクリックで拡大表示]

佐藤:僕は×です。大卒の現状のインターンシップは大半が1日か数日で、なんとなく職場の雰囲気を見るっていうだけですよね。であれば、今の大卒はそんなことをする必要がないと思います。中学生や高校生ならいいですよ、職場見学みたいね。

 やるとすれば、もう少し長期で、仕事の中身がある程度分かるものがいいと思うのです。そういう意味で僕は、インターンシップはもう少し採用直結でいいと思っています。内定まで行こうかなと思う会社でインターンシップをやってみて、面接だけでは分からないことを知るのがいいのではないかと。例えば賃金や労働時間は採用面接でも分かりますが、実際どんな感じで働いているのかとか、有給は取りやすいのかなどは面接では分からない。そういう意味では、「行きたい」と思う会社で1カ月とか2カ月働いてみて、自分に合う職場風土なのかを知ることができる長期のインターンシップは意義があります。だから僕は、採用直結型にしてもう少し長期のインターンシップに移行するのが学生にとっていいのではないかなと思います。

 今のインターンシップは元々、就業観、つまり仕事についての意識が希薄な学生に、しっかりした就業意識を持ってもらうという趣旨で始まりました。だから大学からすると、就業意識が弱いとか、何の仕事がいいか分からないような学生にインターンシップを経験させたいわけです。でも企業側は、受け入れはコストがかかるので、自社が採用したいような「ちゃんとした学生」を送ってください、と大学側に求めるので、就業意識が高くてインターシップの必要がない人が送り出されるわけです。そういう人が受けていのが現状の短期のインターンシップです。

 一方でインターンシップの効果としては、あまり知られていないのですが、学生の受け入れを担当する社員の能力開発が挙げられます。「教えることは学ぶこと」につながるわけです。受け入れ社員の能力開発には、できない学生の方がいいわけですよ、手間がかかるから。自分が上司からガミガミ言われることがよく分かるわけです。やっぱり人に教えることで、自分が学ぶという経験を自社の若手社員に経験させる機会とするという意味で、インターンシップを活用することも思います。例えば入社3年目の社員が100人いるとして、その社員全員が1カ月のインターンシップ受け入れるとすると、100人の学生が受けられます。日本全体で言えば卒業生と同じだけインターンシップを受け入れる可能があるわけです。

――海老原さんは△でしたが。

海老原:佐藤さんと同じところと違うところがあります。僕は欧米のインターンシップは、企業に入ってから仕事を教えないので、企業に入る前に勉強してくださいってことだと思うんですよ。

 日本は企業入って教えるから、そんなに事前に教えることはないんじゃないかな。それよりも日本企業は結局「肌合い採用」なので、入社してから社風が合ってない限り生き地獄になるわけですよ。社風が合っているかどうかを見るためのインターンシップは必要と思ってるんですよね。求人広告とかデータじゃ中身がわからないから、「こんなはずじゃなかった」とならないように、本当の実務も見せられるところは見せるのがいいと。

 今のインターンシップってお互いが「ああ楽しい、ああ楽しい」ってやってるだけだと思うのです。そうじゃなくて現場を知ることができるものを1週間でいいからしっかりやる。それで僕は仕事を覚えるよりも、カタログ代わりに何社も見てその中からどれ選ぼうか考えられるのがいいと思う。例えば夏休みに1週間ずつ10社見られるといった仕組みがいいと思うんですよ。今のインターンシップは実務もやらせないし、短すぎる。

 日本のインターショップでもう一つ活用法があると思っているのは、採用が決まらなかった人たちを中小企業に向かせるときに、「肌合い合わせ」というものが必要なんですよ。だから決まらない学生を4年の終わりとかに、3カ月のタームを取って週に1社ずつ10社に送るとか、そういう仕組みもあったらいいと思っています。

――それは採用直結で?

海老原:もちろん採用直結です。実は2011年の就職氷河期に経産省が実際にやったんです。7500人ぐらい枠を作ったら一気に埋まって、6000人ぐらいが採用されたんですよ。そういう過去の取り組みにぜひ学ぶべきだと思うんですね。

佐藤:採用直結で、「最終段階で3社行きたいとこあるけどどこにしようかな」っていうときに1社ずつ、1週間ぐらい働くってすごくいいと思います。

海老原:それが一番いいね。入り口でいきなり採用直結のインターンシップやると、2000年頃にあったことなんですけど、どんどん前倒しになって大学2年生から採るようになっちゃう。それよりも最後でやるといいですね。