日本型雇用の代名詞である「新卒一括採用と終身雇用」はなぜ普及したのか。途中解雇が難しいのはなぜなのか。人事の一般常識を覆す真実を明らかにする。ヒントは「ヨコヨコタテヨコ」だ。

 「ジョブ型はジョブディスクリプションでタスクが細かく決められている」などというのは神話レベルの大ウソ。本意とすることは「ポストを決めて採り、勝手に動かすことはできない」、つまり企業に人事権がないということだと前回書きました。

 この仕組みは、日本企業の社員のキャリア形成や企業経営に大きな影響を及ぼしています。特に、人材補充と解雇について今回は考えることにします。

中途採用とは同業・同職採用が基本

 最初に人材補充を考えてみます。なぜ日本は新卒一括採用が盛んで、それに対して欧米は社会人の中途採用が主になるのでしょうか。日本型雇用の典型とも目される国内大手メーカーの例で考えてみましょう。

 トヨタ自動車や日産自動車のような定着率の良い超大手でも、年間に数百から1000人を超える退職者が生まれます。もっともその7~8割は定年退職で、どの部署の誰がいつ辞めるか分かるので人員補充は楽ですが。

 ということで、次の問題です。下の図を見て考えてください。

Q1.この欠員をあなたならどうやって埋めますか
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 図の右側に挙げたような人たちが辞めていき、同じ役割を果たせる人材を中途で採用しようと思った場合、彼らはどこにいるでしょう?

 同じ製造業であっても、大手電機には、まずいませんね。高学歴な社員があまたいる総合商社やメガバンクにも、インジェクションやECVが分かる人は見当たらないでしょう。結局、上記の「自動車特有の仕事」ができる人は、ライバル自動車メーカーか、一次請けのサプライヤー辺りにしかいないのが実情です。

 つまり、中途の即戦力採用とは基本、同業・同職での獲り合いとなる。仮に他社からうまく人を補えた場合、今度はその会社で欠員が生じます。こういうババ抜き状態になるため、獲得合戦はなかなか終息しません。だから欧米(いや米国)は引き抜き合戦で離職率が必要以上に高まることになるのです。