SOMPOホールディングスは人的資本経営の一環として、グループ企業の全社員約7万4000人に向けて、「MYパーパス」関連施策を展開中だ。

 SOMPOホールディングスにおけるMYパーパスとは「自らを突き動かすようなパッションや想い」のこと。社員それぞれが持っている、やりがい、やる気、使命感の源泉となる要素であり、これを社員本人が自らを掘り下げて特定し、言語化したものを指す。

 この施策の中核が、部課長など直属の上司と行う1on1のセッション「MYパーパス1on1」である。社員はMYパーパスについての研修を受講した管理職と1on1を実施。自分の人生で体験した様々な出来事や体験を振り返りつつ、MYパーパスを特定していく。MYパーパスを探る際には学生時代や子ども時代を含めて考えて良い。つまり、いったん「会社の中の自分」から離れて、自分自身が本来、世の中に対して何を提供したかったのか、社会の一員としてどうありたいのかを考えてもらうことになる。

 MYパーパス施策の推進を担当するSOMPOホールディングス人事部特命部長の加藤素樹氏は、「現場からはおしなべて好評。管理職クラスの社員からは『メンバー(=部下)がこれほどに盛り上がってくれる施策は従来なかった』という声を聞く」と語る。

 コロナ禍が始まった2020年度、グループ持ち株会社(SOMPOホールディングス)の部課長に向けた1on1の研修からスタートさせ、グループでの横展開を順次進めてきた。グループCEO取締役代表執行役社長である櫻田謙悟氏は、オンラインで複数回開催してきた社員向けの「タウンホールミーティング」において「自分が人生で何を成したいのかを考えていただきたい。それを実現する場として会社を使ってほしい」と語りかける。

 産業構造が変化し社会の成熟度が高まる中、日本では「個が重視される時代」だと言われるようになった。また、産業界の各所でウェルビーイング(人間の総合的な幸福度や「より良く生きる」ことを指す言葉)が話題になり、政府も政策目標の中で触れるようになった。

 しかし、そうした時代背景を踏まえても、日本の大手企業が、ここまで社員個人の価値観を尊重する施策を打ち出すのは珍しい。加藤氏は「(会社の成長につながりにくい)遠回りな施策だと疑問を呈す向きもある。だが当社はこれまでの取り組みを通じて、今後MYパーパスが社員と会社双方にもたらすメリットを確信している」と語る。

 MYパーパスにどんなメリットを見込んでいるのか。MYパーパスの取り組みを通じて、組織と社員が共に発展を目指せる人材育成モデルを探っていく。

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