花王グループが人材および組織マネジメントの大転換に取り組んでいる。2020年12月に発表した中期経営計画「K25」の柱の1つとして、OKR(目標と成果指標、Objectives and Key Results)の全面導入を決定した。

 2021年1月から取り組みを開始。順次、グループ3万数千人規模の従業員に浸透を進めていく。2021年1月からこの3月末をメドに、各社員にそれぞれのOKRを一通り記述してもらう考えだ。

 従来、花王では事業目標達成のための組織マネジメント手法として、KPI(重要業績評価手法)に基づいた目標管理制度を採用していた。これをOKRに基づいた制度に変更するという。

 OKRは、個人、組織、さらには企業全体を結びつける目標管理の方法である。米グーグルや日本のメルカリが全面的に採用していることで知られる。

 このOKRの最大のポイントは、野心的な目標を社員から引き出しつつ、それと企業としての目標を合致させやすくするところにある。経営陣から示された全社の戦略や指針を踏まえて、社員個々人が自分の目標と、それを達成するための具体的な行動内容(Key Results:成果指標、目標達成に直接結びつく計測可能なもの)を定める。目標の達成度は100パーセントでなくても構わない。

 例えばグーグルでは7割達成できればOKと言えるような目標を推奨している。グーグルが公開しているOKRの解説資料「OKRを設定する」では「OKR は、トップダウンとボトムアップ双方の提案が組み合わさることで高い効果が期待できます。それには、時間をかける価値があると思うことは何か、最大限の力を発揮するにはどうすればよいかなど、組織の誰もが意見を述べられる土壌が必要です」としている。このような目標の設定ポリシーを採用し運用上の工夫を加えることで、社員のモチベーション向上、さらには組織全体としての生産性アップを狙う。

 なぜ花王はOKRに着目したのか。どのように運用するのか。花王の人財開発部でOKRの導入に携わっている仲本直史氏(人財開発部門副統括兼人財開発部門キャリア開発部長)に話を聞いた。

仲本直史(なかもと なおし)氏
花王 人財開発部門副統括 兼 人財開発部門 キャリア開発部長
1993年4月 花王株式会社入社。入社時に工場の人事勤労担当として配属されて以降、以降一貫して人事業務に従事。国内外人事関連諸制度の企画立案や組織開発、企業買収時の資産評定・統合作業、アメリカ駐在等を経て、2017年7月よりキャリア開発部長として採用、組織改編・人事異動、評価、人財開発等を担当。2021年2月より現職。