テスターなど御社の業務に従事している人の中に、例えば発達障害をお持ちの方はどのくらいいるのでしょうか。

玉塚:先ほどお話ししたように当社では約8000人のテスターのデータベースを運用していますが、当社では、当社のビジネスに興味を持ってくれ、適性があると思った方に広く門戸を開けているため、障害の有無についてはご自身が申告したケース以外はあえて把握していません。ただ私の感覚では、一般的な企業組織に比べると、割合としては多いほうではないかと思います。

 産業界全体を見てみますと、身体に障害を持つ人については、政府の支援もあって仕事の活躍の場は広がっています。しかし、ASDやADHDなどを持つ人についてはまだ限定的です。

 当社の場合、ゲームソフトのデバッグということで多くの人が関心を持ちやすい分野ですし、また業務に従事しやすい枠組みにしています。「まずはアルバイトでこの日の何時からお願いします」といった具合です。テスターのチーム作りにも工夫しています。多くの場合、テスターの方は最初、「スポット」として週1回程度のアルバイトで5人ほどのチームの中に入ります。チームでデバッグ作業に従事し、初めてバグを見つけた。すると、みんなで拍手する。本人は認められた体験としてとてもうれしく感じるのではないでしょうか。

 次第に作業に従事する日にちが増え、契約社員になって、結果を出して自信がついてきて社員になる。このような人は結構います。私はこの会社に来た時に、なんとも表現しがたい、温かくて独特の雰囲気がある会社だなと感じました。部長や課長クラスの社員にも、引きこもりを経験したという人がいます。彼らは、同じ境遇の人のことがよく分かるのです。

組織の受容力が必要

引きこもり経験者、あるいは発達障害を持つ人材に活躍してもらうには、一緒に働く社員の理解や共感、そしてマネジメントの工夫が必要ですね。

玉塚:一般的に言って、マネジメントの要素が非常に大きいでしょう。理解があって、各人の状態を見ながらうまく調整できるマネジャー層がどれだけ育っているかが大きなポイントです。

 先に触れたように、当社の場合はカルチャーができています。ラボを見ていると、どんな人にも違和感なく接して、分け隔てなく仲間として受け入れ、一緒に仕事しようぜという雰囲気がある。また、そういう人たちを優しく繊細に見守り、注意を払いながら的確にマネジメントできる人材が、このカルチャーの中で育っています。「ここのグループはこの人が担当するのがいいだろう」といったようなマネジャー同士の連携もできています。

 これはやはり創業者である宮澤を中心に、皆で培ってきたカルチャーです。一日二日で形成されるものではない。私の経営者としての役割は、創業者である宮澤が作ったこの会社のポテンシャルをより大きく広げることですが、こうした独特のカルチャーから、何らかのマネジメント体系やメソドロジーを見出すことができれば、可能性がさらに広がると考えております。