コロナウイルスによる日本の停滞に危惧

 WAAはコロナ禍でようやく各社が踏み切ったリモートワークをいち早く推奨した内容である。また今年開始したWAAPは副業人材を大々的に募集するものだ。ユニリーバ・ジャパンで推進している人事関連施策は、従来の日本企業の在り方と比較すると、かなり柔軟かつ大胆で“攻めた”内容であることに異論はないだろう。

 なぜ、WAAPを推進しようと考えたのか。

島田氏(以下、敬称略):私は「働き方のこれから」というテーマに非常に興味があり、日本人の働き方はもっと変わっていくべきだという強い考えを持っています。自分の特性がより生きる働き方が選べたり、仕事の幅を広げられたりしたら、日本はもっと良くなる。

 極端な話、1人が1社に雇用されている状況じゃなくてもいい。複数社に雇われる働き方は今の労働法の枠組みだと難しいのですが、その人が持っている強みや能力を1社で占有する必要性はないと思っています。人はいろいろな組織や場所で活躍していいはずです。

 これをずっと考え続けていた中で、新型コロナウイルスの感染が拡大し、それに対応するWAAPにつながりました。

 コロナ禍で当社も影響を受けています。その一つが採用で、ユニリーバのグローバル方針として、人材採用のペースを抑えています。完全に採用を止めるわけではありませんが、ニュアンスを表現するなら3つポジションがあったとしても当面は1人しか採用しない、という感覚でしょうか。

 ただ、社内にポジションがあるということは、そこには仕事がある。このままの状態が続けば既存の従業員にしわ寄せがいき、次第に課題が顕在化してくる恐れもある。そこで私は、従来の採用プロセスとは異なる形でケイパビリティ(組織能力)を満たせるような新しい方法はないだろうか、とも考えたのです。

 WAAPは7月17日からネット上で正式に応募受付を開始した。島田氏によれば、10月時点で、サイトに掲載した9つのジョブに対して170人強の応募があった。

 WAAPにはジョブに対する応募枠のほか、もう1つの応募枠がある。現時点のジョブと直結しないが、ユニリーバ・ジャパンで働くことには興味がある応募者向けの枠である。WAAPに登録しておき、将来、自分の興味やスキルに合致したジョブが発生した場合は、ユニリーバから案内が届く。これには約90人が登録した。

 応募者の約8割が企業に勤務する従業員で、残り2割がいわゆるフリーランサーだ。企業勤務者のうち約半数が、従業員1500人以上の大企業に所属しているという。年代別に見ると、20代・30代が85%を占める。島田氏は「私の勝手な分析だが」と前置きした上で、「若者たちは何かを求めている。そこに日本の希望を感じた」とも語る。