2022年は人的資本の情報開示の議論が進む。多くのステークホルダー(利害関係者)が企業の人的資本に注目し、情報開示への要請が加速するだろう。企業にとっては、価値向上を訴求し資本市場での評価を高める好機となる。人的資本について、どんな情報をどのように開示すべきか。行政の動きと投資家の声からヒントを探る。

(写真:123RF)
(写真:123RF)

 人的資本の情報開示に関して、昨年までの動きをおさらいしよう。欧州では2020年1月に、英財務報告評議会(FRC)が人的資本に関する報告書を公表し、同年8月には米証券取引委員会(SEC)が、上場企業に人的資本の情報開示を義務づけることを発表をした。国内では同年9月、経済産業省が「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書として発表した「人材版伊藤レポート」を契機に、人的資本に関する議論が高まった。

 2021年になると、6月に発表された改定コーポレートガバナンス・コードに「人的資本への投資について(中略)分かりやすく具体的に情報を開示すべき」という項目が追加。11月には岸田文雄内閣「新しい資本主義実現会議」が、人的資本への投資を後押しすると明言した緊急提言を発表したのは記憶に新しい。

 情報開示への要請が高まる一方、開示内容や方法の具体的な尺度は定まっていない。指針として有力視される国際規格「ISO30414」は、人的資本の開示項目として11領域、49項目(カウント方法により58項目)を掲載するが、あくまでもガイドラインにすぎない。米連邦議会で審議中の人的資本投資の開示に関する法案はより具体性があり、「構成と多様性」「スキルと能力」「報酬とインセンティブ」「エンゲージメントと生産性」など8項目が法制化される動きがある。

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録