総合法律事務所の米シャーマン・アンド・スターリングが、米国の上場企業トップ100社の経営情報の開示状況の調査結果を発表した。同社は、ニューヨーク証券取引所とナスダック上場企業の時価総額と売上高を勘案してトップ100社を選定し、各社の統合報告書やプロキシーステートメント(株主総会招集通知)から、経営情報の開示状況を毎年調査している。その19回目となる最新リポートが2021年11月に発表された。

(写真:123RF)
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 シャーマン・アンド・スターリングが発表した最新リポート「Corporate Governance & Executive Compensation Survey 2021」によれば、取締役会における女性比率は平均32%。経営陣に関する情報開示は進んでいるが、従業員に関する情報開示は始まったばかりだ。

 「取締役会のサイズとリーダーシップ」「人的資本経営」「ESG(環境・社会・ガバナンス)の情報開示とガバナンス」「サイバーセキュリティー」など16のトピックについてリポートしているが、その中から取締役会と人的資本に関する主な内容を抜粋して紹介する。

 まず、トップ100社が行った取締役会に関する情報開示を見てみよう。取締役会のダイバーシティ情報を開示していた企業は76社だが、一人ひとりの情報まで具体的に公開した企業は26社にとどまった。公開された情報は、主に「性別/性同一性」「人種/民族性」「年齢」「文化的背景」「在職期間」など。ナスダックの新しい情報開示ルールは、取締役のダイバーシティをマトリックスで開示するよう求めているため、この種の情報開示は広がっていくと見られる。

 取締役のスキルマトリックスを公開していた企業は73社あった。取締役を選任する際に重視しているポイントとして多く挙がっていたのは「リーダーシップ」と「業界知識と経験」で95社。以下、「財務の知識と専門性」が94社、「技術(サイバーセキュリティーを含む)」が91社、「国際経験」が84社、「法務とコンプライアンス」が77社、「事業開発、戦略立案、M&A(合併・買収)の経験」が68社、「コーポレートガバナンス」が60社、「マーケティングとブランドマネジメント」が58社となっている。

 100社全体の取締役を総合すると、女性が占める割合は32%だった。2020年の30%から2ポイント増えている。2018年9月30日以降に女性取締役を増やした企業は100社中89社に上り、取締役の30%以上を女性が占めている企業が58社と過半数を占める。40%以上を占める企業も2020年の13社から2021年は23社に増えた。

 取締役の女性比率で最も多かったのは「25~29%」で26社。次いで「30~34%」が24社、「40~49%」が20社となった。「19%以下」は7社しかなく、女性取締役が1人もいない企業はなかった。

 このように、米国では経営トップ層に関する情報開示がかなり進んでいる。例えば、100社中95社が取締役を含むエグゼクティブ層の福利厚生を公開していた。83社が「航空機の個人使用」、51社が「ファイナンシャルプランニング」と「家屋または個人セキュリティー」、46社が「乗用車と運転手」の情報を開示している。経営陣の実態に対する投資家の関心の高さを反映しているといえよう。

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