人的資本マネジメントの国際規格「ISO30414」への関心が高まっている。日本規格協会(JSA)は今春、ISO30414の対訳版を発行するほか、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会(PA協会)と協働して国際標準化機構(ISO)への対応を強化する。ISO30414は日本産業規格(JIS)や第三者認証制度へ発展する可能性はあるのか。両協会のキーマンに聞いた。

 JSAはJISの普及団体であり、ISOの動向にも詳しい。本取材の主な目的は、ISO30414が品質システムの国際規格「ISO9001」などと同様の第三者認証制度に発展するかどうかを知ることだった。ISO30414が認証制度になるのなら、普及は一気に加速する。

 取材の結果、現状ではISO30414が公的な認証制度になる可能性は低いとわかった。その理由はインタビューの中で語られている。なお、ISOの仕組みや認証制度になじみのない方は、ぜひ筆者の記事『ISOの仕組みや第三者認証制度を分かりやすく解説』をご覧いただきたい。ISOや認証制度の仕組みについて、平易に解説した。

──ISO30414への注目が高まっています。ISO9001やISO14001のようにJIS化(注1)する動きはありますか?

北浦明子氏(以下、北浦): いまISO30414の翻訳作業を進めており、今春に対訳版として発行する予定です。JSAが素案を作成し、PA協会が専門家の立場から校閲、監修します。左に英語、右に日本語訳が載ります。しかし、これはJIS化ではありません。あくまで対訳版です。

内田富雄氏(以下、内田): 対訳版を発行後、社会的なニーズが大きく高まるようであれば、原案作成委員会が設置されJIS原案作成後、経済産業省に設置されている日本産業標準調査会(JISC)で審議され、主務大臣がJISとして制定する流れになります。現段階では、ISO30414のJIS化は未定です。

内田 富雄氏(うちだ とみお)氏
日本規格協会 業務執行理事
1980年4月 通商産業省(現経済産業省)入省。産業技術環境局 環境生活標準化推進室長・産業基盤標準化推進室長 中国四国産業保安監督部長等を経て2015年7月に経済産業省を退官。同年10月日本規格協会に入職。
北浦 明子(きたうら めいこ)氏
日本規格協会 標準化総括・支援ユニット 国際標準化支援チーム 課長
1998年4月、日本規格協会入職。広報、規格開発、審査登録、出版部門などを経て現職。
(注1) 国際規格に準拠して国家規格を策定すること