日立製作所はHRテクノロジーをいち早く導入し、人事体制のグローバルな把握とデータに基づく意思決定の実現に努めている。人材市場へのアピール、投資家への対応、国際規格ISO30414に基づく情報開示などの課題に対し、HRテクノロジーはどのように役立つのか。HRテクノロジーの活用をリードする人財統括本部HRIS部の山川紗穂里氏、同本部シニアエバンジェリストの高本真樹氏に聞いた。

――人材市場が多様化し、企業とそこで働く人材はお互いを選び合う時代になりました。自社が望む人材から選ばれるために、企業はHRテクノロジーをどう活用できるのでしょうか。

山川紗穂里氏(以下、山川):HRテクノロジーは、HRの最新状況を素早く把握するために不可欠です。企業ブランドや過去の実績だけで人材を集めることが難しくなっていますので、企業が優れた人材から評価してもらうには、HRへの取り組みを客観的なデータによって経年的に見せていく必要があります。

山川 紗穂里(やまかわ さおり)氏
日立製作所 人財統括本部 HRIS部長
2003年日立製作所入社。日立製作所およびグループ会社の人事部門にて各種人事勤労業務や海外工場の立ち上げ、クロスボーダーM&A、海外グループ会社サポートなどを担当。2017年より、グローバル共通の人財マネジメント統合プラットフォーム導入およびその運用の日本地域取りまとめを担当し、2020年4月より現職。(写真提供:日立製作所)

高本真樹氏(以下、高本):10年前のリーマン・ショックで当社は大きなダメージを受けました。このとき経営トップは経営方針を「モノづくりからコトづくりへ」と大きく舵を切りましたが、もう一つの目玉がグローバル化の本格的な推進でした。

 例えば当社の鉄道事業は長らく日本国内が主戦場でしたが、この10年の内に本社を英国に移しました。現在では、鉄道事業にとって欧州が重要な市場の一つだからです。

 このように事業の在り方や組織が大きく変わると、必要な人材のポートフォリオも変化します。必然的に採用や育成の方法も見直しが必要になってきます。そうした中で、社員一人ひとりがどのような意識で仕事をしているのか、人材や職場の実態に対する意識を通して可視化しながら人事施策のPDCA(計画・実行・検証・改善)サイクルを回すことで、HR施策を向上させていく仕組みが必要になってきています。それにはHRテクノロジーの活用は当然欠かせません。

 数十万人に上るグローバルな人材をワンストップでデータベース化することなど10年前なら不可能でしたが、今はITの飛躍的な進化もあり実現が可能になりつつあります。

高本 真樹(たかもと まさき)氏
日立製作所 人材統括本部 シニアエバンジェリスト
1986年入社。主として人事勤労畑を歩み、いきいきまちづくり推進室長、株式会社 日立博愛ヒューマンサポート社社長などの事業部門も経験。現在はシステム&サービスビジネス統括本部 ヒューマンキャピタルマネジメント事業推進センタ長も兼任しながらデータドリブン型のHRスタイルへの移行・確立を推進している。(写真提供:日立製作所)

この記事は登録会員限定(無料)です。

登録会員お申し込み会員登録